セミナーレポート

震災から1年、私たちにできること

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【討論2】自治体とエイドワーカーが連携する秘訣

特定非営利活動法人全国災害ボランティア
支援団体ネットワーク(JVOAD)代表理事
認定非営利活動法人レスキューストックヤード代表理事
栗田暢之
熊本県健康福祉部健康福祉政策課
福祉のまちづくり室長(当事)
木村忠治

阪神・淡路大震災以来、ボランティア経験を積んできた栗田暢之氏は、22年の歴史を振り返った。今は、災害復旧のボランティアが集まるセンター立ち上げが普通になり、エイドワーカーと呼ばれる災害救援のプロ集団として機能するNPOも育ってきた。栗田氏は、行政、企業、市民の各セクターが連携し、支援の漏れをなくそうと立ち上げたJVOADを紹介。「多様なセクターが被災者支援の目標にベクトルを合わせることが大事」と話した。

熊本県の木村忠治氏は「2種類のボランティアの理解が出発点」と強調した。熊本地震では、社会福祉協議会が束ねる一般ボランティアは大きな力を発揮したが、発災直後からの受け入れは、安全確保の問題で難しかった。一方、専門性を持つJVOADなどの災害ボランティア団体のネットワークの存在については当初、知らなかったが、連携を深めた過程を振り返り「熊本地震の2016年を行政と災害ボランティア団体の連携元年に」と語った。

関西大学社会安全学部
准教授
菅磨志保
公益財団法人米日カウンシル-ジャパン
TOMODACHIイニシアチブ
アラムナイ・マネージャー
宇多田カオル

関西大学の菅磨志保氏は、熊本に入ったボランティア団体が情報共有した「火の国会議」の議事録から見えてきたことを報告した。この会議により、全体像の把握を目指しつつ、課題の抽出が行われ、組織や地域を超えた連携を可能にし、経験豊富なNPO・NGOによる避難所の統廃合支援などにつながった、と評価。「相手ができないこと、自分ができることをすり合わせ、連携・協働した経験は、災害以外の社会的課題の解決にも参考になる」と話した。

東日本大震災の復興支援から生まれた米日間の官民パートナーシップ、TOMODACHIイニシアチブの宇多田カオル氏は、日米関係の強化に深く関わり、より協調的で繁栄した世界への貢献に必要な技能と国際的な視点を備えた日米の若いリーダー「TOMODACHI世代」を育成する取り組みを紹介。この活動の一環として災害復興トレーニングプログラムを受講した東北出身の若者による、熊本地震被災地での活動を報告した。宇多田氏は「今後また起きるかもしれない震災に対応できる、次世代リーダーのネットワークをつくりたい」と語った。

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