自動車関連メガサプライヤーが、
なぜ横浜に続々集まるのか
横浜市

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自動車部品サプライヤーをはじめ、リチウムイオン電池の開発企業や半導体の先端企業など、自動運転時代を創造する自動車のトッププレイヤーが、続々と横浜市に集結している。その背景とは。

世界30位のうちの13社が横浜に集結

「横浜市都筑区に研究開発センターを設立したのは1992年。研究施設を集約できるような広い敷地が必要だったことはもちろん、従業員の“クオリティ・オブ・ライフ”を第一に考えて横浜を選びました。今では海外のボッシュ・グループの中でも『横浜で働きたい』という社員は多いです」

そう語るのは、ボッシュ横浜事務所の前田明裕所長。ボッシュ・グループは、ドイツをはじめ世界60カ国に現地法人を展開するグローバルカンパニー。同グループの売り上げの59%を占める自動車関連サプライヤーとしての事業は、売上高5兆5465億円を誇り世界シェア1位※だ。ボッシュ・ジャパン最大となる横浜のR&Dセンターである横浜事務所では、ガソリンシステム、シャシーシステム コントロール、モーターサイクル&パワースポーツの3つの事業部を持つ。

実は、ボッシュ以外にも世界的な自動車関連サプライヤーの多くが横浜市に進出している。売り上げ規模で言えば、世界30位のうちの13社が横浜市に日本本社や研究施設を置いているのだ。これは単なる偶然ではない。

横浜市に立地する世界トップ30サプライヤー
マークラインズ社の2015年度のデータによる。下記は、その日本法人やグループ企業の本社、研究所等

 ボッシュ(都筑区)
 マグナ・シュタイヤー・ジャパン(港北区)
 コンチネンタル(神奈川区)
 ゼット・エフ・ジャパン(中区)
 ゼット・エフ・ジャパン(中区)
 アディエント(西区)
 フォルシア・ジャパン(保土ケ谷区)
 シェフラージャパン(保土ケ谷区)
 住友電気工業(栄区)
 パナソニック(都筑区)
 オートリブ(港北区)
 テネコジャパン(中区)
 テネコジャパン(金沢区)
 マニェーティ・マレッリ・ジャパン(港北区)
 ボルグワーナー(緑区)

国内主要都市へ直結する東海道新幹線の全列車が新横浜駅に停車。羽田空港へのアクセスも良く、国内・海外への出張が多い従業員にとって、横浜は快適なロケーションと言える。都内より広いオフィスをリーズナブルなコストで確保できること、オフィスの近くに実験設備を確保できること、さらに都内からの通勤が毎朝のラッシュと無縁であることをメリットに挙げる企業も多い。また、ボッシュのようなグローバル企業にとって大きいのは、外国人従業員が馴染みやすい横浜の住環境や雰囲気だろう。

「都筑区にドイツ系、緑区にはインド系のインターナショナル・スクールがあるのは大きな魅力ですね。当センターの従業員のうち200名ほどが外国人ですが、ドイツ人、インド人は家族を連れて横浜に駐在していることが多いです。横浜には、外国人に好まれる商品を豊富に取り扱う商業施設もあり、治安が良く、自然も多い。さらには冬には街ぐるみでクリスマスマーケットが開催されるなど、外国人の従業員とその家族、そして市民との間で良好なコミュニティが形成されています」(前田所長)

ボッシュ(都筑区)
グループの中でも、モーターサイクル部門は横浜がコンピテンスセンターとしてグローバルの本部機能を担っている

ボッシュ横浜事務所は、10年に43億円を投じて研究開発施設を増床。昨年には地下の実験設備を拡張するなどし、従業員は横浜だけで1200人に達した。

「14〜15年のボッシュ全体と日本の自動車メーカーの世界市場での取引額は17%伸びていますが、これは日本のお客様とともに研究開発を行っていることも影響しているでしょう」(前田所長)

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