これからの社会を動かしていく人材とは 東洋大学

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東洋大学
情報連携学部長(就任予定)
坂村健
専攻はコンピュータ・アーキテクチャー(電脳建築学)。1984年からTRONプロジェクトのリーダーとして、まったく新しい概念によるコンピュータ体系を構築し世界の注目を集める。現在、TRONはユビキタスコンピューティング環境を実現する世界で最も使われている組み込みOSとなっている

坂村 専門性については、情報連携学部に4つのコースを設けます。一つは、経済学や商学に、データサイエンスや人工知能を使った分析技術などを含めた情報連携ビジネス・コース。二番目は、ものの形のデザインにとどまらず、考え方や説明の順序、提示の仕方といった情報も対象に含めた情報連携デザイン・コース。三番目はシビルエンジニアリング(都市工学)で、道路や水道などのインフラ対象から、コミュニティ形成や社会コミュニケーションの活性等に重点をシフトした情報連携シビルシステム・コース。そして、これら3分野を支えるコンピュータ・サイエンスを学ぶ情報連携エンジニアリング・コースで専門性を磨きます。AIとロボット、IoTの組み合わせは、これまで人間が必要だった多くの分野を一気に自動化、効率化することを可能にすると考えられていますが、一方でチームワークの重要性は、情報連携学部がまさに実践しようとしていることです。自分の専門知識で不足している部分は、その分野の専門家に協力を求めればいいのです。複数の専門領域の学生が一つのグループで、「連携」の実地訓練をしながら「文・芸・理融合」の新学問領域の創造を目指しています。

これまでにない、新しい視点でつくられる学部ですね。住友商事は昔から「研修商社」と言われるほど社内研修制度を充実させていますが、約20年前からは、外部に人材を送り出す社外研修にも力を入れています。大学が社会人再教育の機会を増やせば、企業からの大学への期待がより一層高まるかもしれません。

坂村 実社会での連携は、同世代に限らず、若手とベテランが組むこともあります。今後は、国籍や性別、年齢に関係なくチームを組む機会もますます増えるでしょう。そこで、情報連携学部は、再教育に注力して社会人学生比率を高め、外国人学生も積極的に募集しています。現時点で、学部の外国人留学生は入学定員の1割超に達し、学部と同時に開設する大学院情報連携学研究科は、今春の入学者全員が社会人経験者です。

社会人が大学に戻って若い人と連携することで、新たなものが生み出されることが期待できますね。もう一つ、私が若手社員との懇談で訴え続けているのは、努力の大切さです。社長在任中、「最初の10年は、評価に差をつけないので、勉強のつもりで最善を尽くせ」と言ったことがあります。学び、考え、その結果を発信する、チームワークのためにネットワークをつくる、という努力やチャレンジが成功の鍵だということを学生にも伝えていただければと思います。

坂村 情報連携学部の教育では、チャレンジをたくさんすることが新しい価値を生み出すイノベーション成功の鍵だと考えているため、学生がICTを活用してチャレンジできる世界にも誇れる最先端の環境を整えています。そのほかにも、既存の枠にとらわれない教育を意欲的に実践し、これからの社会を動かしていける人材を育成していきます。