
MCE社は、米国ナスダックに上場してから10年以上が経つアジアの総合リゾート開発・運営会社だ。これまでもカジノ、ホテル、飲食、エンターテインメントの統合型リゾート施設などを展開してきた世界有数のIR企業の一つでもあり、ミシュランの星やフォーブス五つ星を獲得したレストランやホテル施設をマカオで数多く展開している。
MCE社が運営するマカオのエンターテインメント総合リゾート「シティ・オブ・ドリームス」では、世界最大級のウォーターショーと言われる「ザ・ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」が行われる。「ザ・ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」は、5年間の構想、2年間のリハーサルを経て2010年9月16日に開幕し、これまで400万人を超える観光客が訪れているという。
またMCE社はマカオにある映画をテーマとした娯楽とレジャーを提供する、スタジオをコンセプトとするリゾート施設「スタジオ・シティ」やマニラの「シティ・オブ・ドリームス・マニラ」の運営などにもかかわっている。日本におけるIR整備推進法の成立について、同社の会長兼最高経営責任者のローレンス・ホー氏は、次のように語る。
「当社は、つねに日本に強い関心を抱いており、私をはじめとする経営層は、10年前からこの市場に注目してまいりました。したがって、日本におけるIR整備推進法の成立は、大変うれしいニュースでした」
独特かつ先端的な建築デザイン
ローレンス・ホー氏
MCE社の特徴は、ホー氏の言葉を借りれば、「過去の成功を模倣することはせず、文化と融合するような独創的な施設づくりを心掛けて」いる点にある。これまでもレストラン、ホテルなどで数々の国際的な賞の受賞や評価を得てきている同社だが、2018年には同社の最新プロジェクトとして、マカオの「シティ・オブ・ドリームス」に新しいホテルブランド「モーフィアス」を開業する予定だ。著名建築家であった故ザハ・ハディッド女史が手掛けたデザインの一つであり、斬新な構造を持つこのホテルがマカオで新しいランドマークになるよう期待しているとホー氏は語る。
ジェフリー・S・デイビス氏
一方、MCE社が描く日本でのIRリゾートはどのようなものなのか。「日本での事業展開は、政府、企業、地域社会と密接に協力しながら、長期的視野を持って取り組んでいきたいと考えています。これまで洗練されたユニークなIRリゾートを生み出してきましたが、日本ならではのIR施設を実現するように努めていきたいと考えています」とホー氏。MCE社の上席副社長・最高財務責任者のジェフリー・S・デイビス氏は、「独特かつ最先端を走る建築デザイン」をもとにコンセプトを想定していると続ける。
「当社のIR施設は、都市の文化とその美しい風景を融合した斬新なデザインで有名です。ここ数年間、大阪、東京、横浜をはじめとした、数々の魅力的な候補地を想定してきました。世界クラスのIRの導入は、観光産業の多元化を促し、地域経済と社会の発展につながると考えられます。こうした成果を生むためにも、政府、地方自治体からの貴重なアドバイスを期待しています」
地域文化の継承と創造を重視
多くの国でIRリゾートを展開してきたMCE社は、ビジネスだけでなく、地域文化の継承と創造も非常に重視している。実際、日本でも2011年より、文化振興、CSRや教育のイベントを行ってきた。その例の一つが、災害で被害を受けた学生300人を沖縄と大阪のアウトドア活動に招待した「日本復興支援ミュージックフェスティバル」だ。また、2014年には、東京藝術大学との文化提携プロジェクト「着物×きもの×KIMONO」、そして「DARE TO DREAM(夢を見る勇気)」として才能ある人材と世界のエキスパートたちとをつなげ、芸術創作、イノベーションを育むプロジェクトなどを開催してきた。東京藝術大学と協力したプロジェクトは、「革新的芸術文化都市」(AURA:Alternative Urbanism Realized by the Arts)と命名された。
ホー氏自身も長年日本と交流を持っており、日本の文化に対する情熱について「日本は昔から世界の中で最も豊かな文化を持つ国の一つだと認識されています。私は日本を尊敬しており、そしてその文化、国民、及び日本の美しさに感銘を受けています」と語る。
「日本国民や海外の観光客が心踊り、競って訪れたいと思うようなすばらしいIR施設を目指します」と日本進出への意気込みを見せるホー氏。今後どのような取り組みを進めていくのかが注目される。