伊藤忠、勝ち続けるための次なる戦略 伊藤忠商事

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「社員が健康でも、主体的に会社に貢献しようとする意識(=エンゲージメント)がないと、中長期的に会社が成長していくことはできません。社員のエンゲージメント力を高めるために、“働き方改革”は非常に重要であり、積極的に取り組んでいるのです。そこで重要となるのは“働きやすさ”ではなく、“働きがい”と考えています」(垣見氏)。

女性活躍に向けた支援策が良い例だ。女性個々人のライフステージやキャリアに応じた丁寧な個別支援を行うとともに、若手女性総合職のキャリア意識醸成のための研修や、組織長研修での啓蒙を行っている。通称「げん(現場)・こ(個別)・つ(繋がり)改革」。わかりやすいメッセージを打ち出して、社員への認知浸透もねらっている。さらに、活躍する女性ロールモデルの創出と、女性が働きがいを持てる環境整備を推進。2013年4月には大手商社初の女性執行役員が誕生している。

「社員のエンゲージメント力を上げるには、会社が社員を活かそうとする環境整備が欠かせません。そのため、入社前から丁寧な人材育成を行っています。新卒採用を重視しているのも、時間をかけて伊藤忠のDNAを培ってもらいたいと考えているためです」と垣見氏は説く。

新卒採用においても、内定直後から研修を実施。英会話、簿記、PCのスキルアップに加え、ビジネスマナーなどの研修も行っている

内定時から英会話、簿記、PCなどのスキルアップ研修が行われるほか、総合職の場合、早い段階から経営者人材を目指して育てるのが特色だ。階層別研修に加え、選抜研修、選択研修なども用意されている。語学は英語はもちろん、第二外国語を話す力も求められ、中国・アジアでのビジネス拡大を目指すという全社の経営戦略に合わせて中国語人材1,000人プロジェクトも進めている。そのために徹底した語学教育を行い、海外での業務経験を積ませる。もちろん、新入社員のときだけでなく中堅・管理職以降もリーダーシップ開発を行って経営管理術を実務と研修で磨くことができるようになっている。合計すると年間150もの育成プログラムが走っているというから驚きだ。このほか、伊藤忠は年功序列ではなく、成果主義の評価処遇制度を導入したのも早い。社員を活かすための環境整備、育成に加え、成果をあげた社員にはしっかりと報いる体制も万全に整えているのだ。

「これからも『最少人数で最大成果を発揮できる』人材戦略の強化に向けて、新しい取り組みを続けていきます。いま、今年度の新卒採用計画も進行しています。自分で考え、自分で動く、いわゆる『思考の自立』と、最後までやり抜くことができる人材を求めています」と垣見氏は力を込める。

先日、経済誌「プレジデント」が発表した「待遇」と「仕事の遣り甲斐」の両方が高い「幸せな会社」ランキングでも、企業725社の中から伊藤忠商事は2位に選ばれた。伊藤忠商事ならば、仕事にやりがいと手応えを感じながら、大きな成長を遂げることができそうである。