東京都

ボランティアの輪を広げる「組織の力」 東京都共助社会づくりを進めるための
社会貢献大賞受賞4団体の担当者に聞く

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高齢者の知識と経験を
地域に生かす

2007年度より、港区と協働連携して地域活動のリーダーを養成する「チャレンジコミュニティ大学」(以下、「CC大学」)を運営している明治学院大学。CC大学設立の経緯について、総合企画室社会連携課課長の加畑愼一さんが次のように説明する。

明治学院大学
総合企画室 社会連携課
課長
加畑愼一

「白金校舎がある港区は、大変豊かな地域であると同時に、高齢者の一人暮らしによる孤立や貧困といった課題も抱えています。これに対し、困っていても声を上げられない人々の気持ちを理解し、何ができるかを共に考えるような人材を育てたいという思いから、社会学部の河合克義教授を中心にCC大学を開校しました。CC大学は、港区内の高齢者や今後高齢を迎える世代が、今までに培った知識や経験を生かし、学習を通じて個々の能力を再開発することも目標にしており、生涯学習という側面も併せ持っています」

講座は1年間に70コマ以上。受講生(主に60歳以上の港区民)の向学心は高く、毎回の出席率は9割を超えているという。CC大学は、この10年でのべ500名以上の修了生を輩出。修了生はチャレンジコミュニティ・クラブという自主組織でそれぞれが得意分野を活かして活動しており、地区ごとの連絡協議会も設立された。

「民生・児童委員や自治会活動をされている方も多く、またコミュニティカフェなどの運営に携わっている人も。これは、港区の一つの課題である高齢者の孤立の改善の一助になっていると考えており、今後もCC大学をより良いものにしていくことで地域社会に貢献したいと思っています」(加畑さん)

各地区が連携し、
地域イベントや東京マラソンの運営に貢献

1983年に設立され、33年の歴史を持つ江東区町会連合。江東区内には町会・自治会が277団体あり、地区ごとに組織している8地区の連合町会が連合会を構成している。連合会では、区内の町会相互の親睦を図り、文化の向上や福祉の増進などを目的として活動を続けてきた。中でも、東京マラソンでは地域セキュリティサポーターによる沿道警備など、大会創設時から多くのボランティアが活躍。また、区内の町会等が連携して運営する江東花火大会等を通じ、地域コミュニティの強化を図ってきたことを高く評価されての受賞となった。

江東区町会連合会
会長
松土英男

会長の松土英男さんは、「東京マラソンでのボランティアは、今年も100人近くの住民が参加。また、江東花火大会では地元の連合町会が中心となって協賛金の募集や運営を行っているほか、44万人もの人出がある『江東区民まつり』においても8地区が連携し、運営の協力をしている」と説明する。

一昨年に行われた江東区政世論調査によれば、江東区に今後も定住したいとの意向を示した人は9割にものぼる。一方で町会や自治会への加入率は減少傾向にあり、加入促進は連合会にとって大きな課題だ。

「地元で働く人だけでなく、都心の企業で活躍する人もどんどん地域社会の中に溶け込んでもらい、仕事で培った能力を発揮してもらえる環境を作りたいと思っています」(松土さん)

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