TK流目標達成術
~ひとつのことに集中していたら、
きっと僕はダメになっていた~

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少しずつアルバムの中の曲として採用され始めた時に、TVドラマの主題歌用のコンペがありました。それが、渡辺美里さんの「My Revolution」(マイ・レヴォリューション)になりました。採用が決まったときは、本当にうれしかった。特にコンペという場で競った中で選ばれたということは格別でした。しかも結果は大ヒット。業界の論評も「すごい作曲家が出てきた」というものでした。僕としても初めて作曲家としてヒット曲ができたという実感を持つことができましたし、そこから各レコード会社からのオファーが増えていったんです。

――まず、小室さんの知名度が上がっていったわけですね。

小室 はい。すると今度は、「あの曲を書いた作曲家がやっているバンドがあるらしい」という噂が拡がっていきます。そこから急激にTM NETWORKが業界で認知されるようになったんです。その中で、初めてヒットした曲が「Get Wild」でした。

そのころから、作曲家とバンドの両方をやっていると、どちらも相乗効果があると考えるようになりました。たとえば、アイドルの曲をTM NETWORKが書いているとなれば、歌謡曲ではなくニューミュージック系だとわかるという効果がある。反対にこのアイドルの曲は小室という人が書いているとなれば、今度はTM NETWORKに興味を持ってもらえる。そこから肌で感じるように、作曲家とバンドの相乗効果を実感できるようになったんです。つまり、二つの職業を持つことで、目標が実現していったんです。

1983年にTM NETWORKを結成し、84年デビュー。アーティスト活動をしながら、作詞・作曲もこなし、数多くの名曲を世に送り出す。93年にはtrfを手がけ、プロデューサーとしてもブレイク。以後、プロデュースした篠原涼子、安室奈美恵、globeらが次々にミリオンヒットを飛ばし、「小室ファミリー」なる言葉も生まれた。その後も幅広く楽曲を提供している。1958年11月27日東京都生まれ

――もしバンドだけの活動をしていたら、成功していなかったということですか。

小室 その可能性は高いですね。僕がTM NETWORKだけしかやっていなかったら、ダメになっていたかもしれません。

バンドだけうまくいっていると自分たちだけの世界をつくり続けなければいけません。しかし、職業作曲家、職業作詞家という裏方の仕事を平行して持っていると、自分のバンドと違う音楽の世界をつくることもできるし、それがやれるということをアピールできる。小室はTM NETWORKのようなバンドだけでなく、フォークやダンスミュージックも書ける。つまり、いろんなことができる人間だと評価されるようになったんです。

そこから、世界が拡がりました。単に「音楽プロデュース」ではなく、ジャケット・デザインからミュージック・ビデオまで全体の「プロデュース」ができるようになったんです。すると今度は、歌手自体の活かし方がわかるようになる。手掛けた歌手がヒットしていくと、さらに全体のプロデュースを任せられるようになっていったんです。

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