中高6年間かけて学んだのに……
「使えない」「話せない」英語でいいの?
Z会
さらにこの講座の特長として、4技能についてそれぞれ異なるレベルで学習することができることが挙げられる。「読むことはA1.3に到達しているのに、話すことはA1.1のレベルだというように、4技能にばらつきがある人も多くいます。そこで技能ごとにレベル判定を分けて、自分の苦手な技能は少し低いレベルからスタートするといった学習方法がとれるようにしています」(阿部氏)。
「枠にとらわれない」教育を体験してほしい
通信教育で4技能ごとにレベルが異なる学習を進めていくのは難しそうに思えるが、それを可能にしたのがICT技術だ。Asteriaの英語4技能講座はタブレットで学習が完結するようになっている。個々の学習にあたってはKnewton, Inc. のアダプティブエンジンを活用し、問題を解くごとに、解答の正誤、学習履歴、習熟度などのデータを総合して、次に学ぶのに最適な問題や映像講義が提示される仕組みだ。これにより、「通信教育でありながら個々の到達度に合わせて4技能を学習できるようなサービスの提供が可能になりました」(阿部氏)という。
とはいえ、すべての学習をICT技術に頼るわけではなく、従来からある、人による指導を柔軟に取り入れている点もこの講座の注目すべき点だ。「たとえば、『書く』課題について言えば、必ずしも正しい答えが一つとは限らず、二者択一方式などの設問ですべてを機械的に学習することはできません。そのため『書く』技能についてはZ会の強みである添削指導を行います。また、『話す』技能については、レアジョブ社と提携して、外国人講師とマンツーマンのオンラインレッスンも取り入れています。これらすべての要素が盛り込まれたオンライン講座は、これまでにないものだと思います」(阿部氏)。
英語4技能講座が「無学年制」というスタイルを採用しているため、受験には向いていないと考える方もいるかもしれない。阿部氏も「確かに、『来週のテスト対策に使いたい』というような要望には応えにくいサービスだと思います」と語る。「しかし、何事にも土台づくりは重要です。英語においても同様で、最終的には受験対策が必要になるにしても、そのためにはしっかりとした英語力の土台をつくっておくことが重要です。さらに、最近では、学校教育についても、4技能を重視するという流れが少しずつできはじめています。今後、4技能試験が重視されていくようになれば、親和性はより高まると思われます」。
阿部氏は、「日本の英語教育はこれまで枠に縛られすぎた面があるのではないか」と考えることがあるという。「欧米では、たとえば学年について見ても、飛び級、留年は当たり前です。枠がなければ、自由に伸びる可能性も出てきます。Asteriaを通じて、枠に縛られない一つの教育のあり方を体験していただければと思っています」。