総人口減少時代の成長戦略
講演協力:船井総合研究所

基調講演
フィンランドから学ぶ!労働生産性を高める
5つのキーワード

IT・メディアグループ
グループマネージャー
シニア経営コンサルタント
斉藤 芳宜氏
船井総研の斉藤芳宜氏は、高い労働生産性で知られる北欧、フィンランドの企業視察で、高成長を続ける5社から得た、生産性向上のための5つのカギを紹介した。一つ目は信頼関係。あるソフトウエア開発企業は社員に会議をすべて公開して透明性を高め、社員全員に会社のクレジットカードを渡すことなどを通して信頼を示すことで、働きがいのある企業として外部からも高い評価を獲得するような職場環境を構築、好業績につなげた。二つ目は採用。ここでは、宇宙プロジェクトをはじめとする面白い仕事と、リラックスできるオフィスを提供し、もともとの生産性が高い優秀な人材を確保するITコンサルティング企業を紹介。三つ目はITでムダを解決。ゴミ箱に取り付けたセンサーのデータを分析、収集コストを削減したケーススタディを挙げた。四つ目は自由。ゲーム開発企業は、自由なやり方で責任を持って取り組むことを尊重し、勤務体系や社内ルールを極力自由化することで生産性を高める。五つ目はイノベーション。地元大学の学生により設立されたNPO団体は、デザイナー、マーケター、エンジニアの協働に取り組み、イノベーションに重要なセレンディピティ(偶然の幸運)を意図的に引き起こす。斉藤氏は「フィンランド企業からは学ぶべき点も多いと思います」とまとめた。
経営者特別講演
どん底からの復活。コンサルでは語れない
「働き方イノベーション」とは?

代表取締役社長
渡邉 淳氏
Mipoxの渡邉淳氏は、ITを活用した働き方改革の実践例を語った。渡邉氏は、同社が経常赤字に転落した2008年に社長就任。人員削減、拠点閉鎖、不採算事業中止で建て直したが、社内には、部署間の意思疎通の悪さなどの問題が山積していた。そこで、5つのポイントを定めて働き方改革に着手した。第一にシンプル化。社内コミュニケーションのツールをセールスフォースの社内SNS「チャター」に一本化して、すべての情報を社員全員で共有する形にした。第二は、このオープンコミュニケーションによって、つねに投稿が見られることで刺激を与え、組織を活性化。第三に、人事評価にもチャターでのオープンでリアルタイムのフィードバックを使うことにより、評価制度の公正さや透明性を高めている。第四に、仕事に関するあらゆる情報をセールスフォース上に一元管理することで、さまざまなリスクの可視化も実現。そして第五に、ITを使うことによって、仕事の一部をルーティン化することにより、好調時のビジネスの再現性を高めることも期待している。渡邉氏は「ITの利用、情報の発信は、経営トップ自ら率先することが大事です。改革は、どんどん仕掛け、ダメなら止める割り切りも重要。働き方改革で会社の安定的売り上げ増と利益確保ができたので、これから成長モードに入りたい」と語った。