有料会員登録

総人口減少時代の成長戦略

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
日本の経済・社会が大きな岐路を迎えるとされる2020年に向けて、中堅・中小企業の成長戦略を検討する「2020年中小企業の底力を最大限に引き出すための新・成長戦略」が2016年12月5日に東京・千代田区で開催された。登壇者は、人口減少社会突入による人材不足が予想される中で、成長実現のカギとなる生産性向上の方策、実践例などについて講演。会場を埋めた約300人の経営者・経営幹部らが耳を傾けた。
共催:セールスフォース・ドットコム、東洋経済新報社
講演協力:船井総合研究所

基調講演
フィンランドから学ぶ!労働生産性を高める
5つのキーワード

船井総合研究所
IT・メディアグループ
グループマネージャー
シニア経営コンサルタント
斉藤 芳宜

船井総研の斉藤芳宜氏は、高い労働生産性で知られる北欧、フィンランドの企業視察で、高成長を続ける5社から得た、生産性向上のための5つのカギを紹介した。一つ目は信頼関係。あるソフトウエア開発企業は社員に会議をすべて公開して透明性を高め、社員全員に会社のクレジットカードを渡すことなどを通して信頼を示すことで、働きがいのある企業として外部からも高い評価を獲得するような職場環境を構築、好業績につなげた。二つ目は採用。ここでは、宇宙プロジェクトをはじめとする面白い仕事と、リラックスできるオフィスを提供し、もともとの生産性が高い優秀な人材を確保するITコンサルティング企業を紹介。三つ目はITでムダを解決。ゴミ箱に取り付けたセンサーのデータを分析、収集コストを削減したケーススタディを挙げた。四つ目は自由。ゲーム開発企業は、自由なやり方で責任を持って取り組むことを尊重し、勤務体系や社内ルールを極力自由化することで生産性を高める。五つ目はイノベーション。地元大学の学生により設立されたNPO団体は、デザイナー、マーケター、エンジニアの協働に取り組み、イノベーションに重要なセレンディピティ(偶然の幸運)を意図的に引き起こす。斉藤氏は「フィンランド企業からは学ぶべき点も多いと思います」とまとめた。

経営者特別講演
どん底からの復活。コンサルでは語れない
「働き方イノベーション」とは?

Mipox
代表取締役社長
渡邉 淳

Mipoxの渡邉淳氏は、ITを活用した働き方改革の実践例を語った。渡邉氏は、同社が経常赤字に転落した2008年に社長就任。人員削減、拠点閉鎖、不採算事業中止で建て直したが、社内には、部署間の意思疎通の悪さなどの問題が山積していた。そこで、5つのポイントを定めて働き方改革に着手した。第一にシンプル化。社内コミュニケーションのツールをセールスフォースの社内SNS「チャター」に一本化して、すべての情報を社員全員で共有する形にした。第二は、このオープンコミュニケーションによって、つねに投稿が見られることで刺激を与え、組織を活性化。第三に、人事評価にもチャターでのオープンでリアルタイムのフィードバックを使うことにより、評価制度の公正さや透明性を高めている。第四に、仕事に関するあらゆる情報をセールスフォース上に一元管理することで、さまざまなリスクの可視化も実現。そして第五に、ITを使うことによって、仕事の一部をルーティン化することにより、好調時のビジネスの再現性を高めることも期待している。渡邉氏は「ITの利用、情報の発信は、経営トップ自ら率先することが大事です。改革は、どんどん仕掛け、ダメなら止める割り切りも重要。働き方改革で会社の安定的売り上げ増と利益確保ができたので、これから成長モードに入りたい」と語った。

課題解決講演
中小企業こそ勝てる!社員の底力を発揮させる
マネジメントとは?

セールスフォース・ドットコム
コマーシャル営業第2営業部
部長
寺本 裕一

セールスフォース・ドットコムの寺本裕一氏は、部下に生産性の高い仕事をしてもらうように一緒にPDCAサイクルを回す、という自身が成果を出してきたマネジメント術を解説した。

プランニング(P)では、実現可能で具体的な計画を立案。目標額と売上高達成状況のギャップをつねに意識させることで行動を促す「見せる化」が重要になる。進捗管理をするマネジメント(C)は、現在の売上高と目標額とのギャップを埋める案件の保有、来月以降の案件発掘活動、来月以降の案件保有量などをリアルタイムでチェック。「異常値を見つけて早期に是正すれば正しい方向に進むはず」と述べた。

コーチング(D)は、いきなりスーパー営業パーソン育成を目指すのではなく、普通レベルの10人を横並びで育て、そこからスーパーな人材が出ることに期待すべきとした。また、失注が、顧客の意思決定のどの段階で起きたのか、失注原因を探り、営業スキルの向上につながる経験値を上げる。

リーダーシップ(A)は、組織の雰囲気づくりのため、社員それぞれに期待値を伝え、目立つように褒め、モチベーションを向上させる。寺本氏は、こうしたPDCAサイクルを回して、結果につなげ、さらに上を目指す好循環を生み出すことで「大企業にはない、少数精鋭こその優位点がある中小企業は、まだまだ伸びていけるはずです」と訴えた。

特別講演
加速する社会の変化パラダイムシフトと
変革のキーワード

クオンタムリープ
代表取締役ファウンダー&CEO
出井 伸之

元ソニーCEOで、現在はベンチャー支援などを行うクオンタムリープ代表の出井伸之氏は、インターネットが引き起こした世の中の大きな変化から語り始めた。

2000年以降、「フォーチュン500」企業の約半数が倒産、M&A(企業の合併・買収)などにより消え、1995年以降創業の代表的スタートアップ企業の時価総額は、日本のトップ10企業の時価総額(88兆円)の2倍に達した。

90年以降、EMS(電子機器製造受託サービス)、ITアウトソーシングによるビジネスモデルの変化、米検索大手やSNSなどに代表される、インターネット上の家元制度と呼べるプラットフォームビジネスの存在が巨大化し、この波を手中に収めた米中で経済が大きく飛躍したことを指摘。逆に「新たなビジネスモデルに対する日本企業の意識が低かったことが失われた20年の本質」と述べた。

企業変革については、今、利益を出している既存事業と、すぐには利益に結びつかない次代のビジネス創造との連立方程式が経営課題になると強調。「未来のビジネスを今の利益率で語る会社は危ない」と短期志向をいさめた。

インターネットに次ぐ、次のキーワードとして、シェアリングエコノミーやブロックチェーン技術を中心とするフィンテックなどを挙げ、「大変革の隕石は迫っています」と、マクロ視点で変化に備えるよう促した。