「3年後離職率」を徹底解剖! 「3年で3割」が目安、代替指標は採用数と従業員数
入社から3年後も在籍している人の割合が、「3年後新卒定着率」です。定着率と離職率は裏返しの概念で、100%から3年後離職率を引けば出てきます。
3年後新卒定着率(%) = 直近4月在籍者/3年前入社者×100
= 100% - 3年後離職率
「入社3年で3割」が目安
回答企業には率そのものではなく、入社者と在籍者の人数を答えてもらい、編集部で算出しています。根拠なく「10%ぐらい」といった率がひとり歩きするのを防ぐためです。まずは、ほかの指標と同じく、全社にわたってチェックしてみましょう。水準を頭にたたき込むためです。
3年後離職率0%、すなわち定着率100%という会社は結構あります。2018年版では151社。大量採用にもかかわらず、3年後離職率が0%というすごい会社もある一方で、就活生にもあまりなじみのない会社も含まれているのではないでしょうか。
逆に、3年後離職率はどのくらいだと“ヤバイ”のでしょうか。就職してから3年後の離職率が中卒7割、高卒5割、大卒3割に達するという政府の調査結果から名づけられた「シチゴサン現象」もあり、大卒以上の新入社員の3年後離職率は30%が大きな目安となります。各社の人事部門でもかなり意識される数字です。
だから、NA(No Answer)の場合は、これより高い可能性が大いにあります。高い数字を出すよりは秘密にしておいたほうが印象がよいからです。最新の『就職四季報』によれば、2012年入社者の平均が11.2%、2013年入社者が11.0%と「3年で3割」よりもかなり低い傾向にあります。
これには、掲載会社が比較的労働環境のよい大手有力会社が多いということもありますが、離職率が高い会社がNAにすることも効いていると考えられます。
最新版でNAとなっている会社の割合は、2013年入社で22.2%となっています。裏を返せば8割弱の企業が新卒3年後の離職状況を開示しているということです。就職四季報はNAばかりと言われますが、企業側も出したほうがメリットになる数字は開示するといえるでしょう。
採用数と従業員数で不審な会社が読み取れる!
とはいえ、さして離職率が高いとは思えない会社でもNAになっていることはありますし、就職四季報に全社が載っているわけでもありません。見たい会社の離職率がわからないという場合には、採用数と従業員数を見てみましょう。離職率がNAでもこの2項目の開示率は9割を超えます。就職四季報に載っていない会社でも、『会社四季報』や『会社四季報 未上場会社版』なら載っていることがありますし、この2項目なら採用ページなどで公開している会社も多いです。