東洋大学

学生時代の海外経験が大きな成長をもたらす

東洋大学

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国際地域学部 教授
芦沢真五
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス、大阪大学、慶應義塾ニューヨーク学院における事務、明治大学国際連携機構特任教員などを経て2013年より現職。専門は教育学、教育社会学

芦沢 おっしゃるとおりですね。私どもの研究チームが社会人約5700名を対象にした調査では、長期留学(3カ月以上)の経験者は、留学非経験者に比べて、リスクを取る意識、社会貢献に対する意識、授業や授業以外の活動への積極性、自己肯定感(自信)が高く、留学が学生の意識、能力の向上に大きなインパクトがあることがうかがえます※2。内容や質が問われることが前提ではありますが、大学として、海外留学、海外経験を積むことを推奨していきたいと思います。

高島 以前は、留学というと限られた人のためのものでしたが、今は大学在学中に海外に行ける国際プログラムも充実していて、誰もが海外を経験できるようになっていますね。

芦沢 確かに留学を義務化する大学は徐々に増えていますね。東洋大学の国際地域学部は、2017年度の再編で、国際地域学科と新設のグローバル・イノベーション学科で構成される国際学部に生まれ変わります。グローバル・イノベーション学科は、日本人学生に対しては、1年間の留学を必須化して、原則すべての授業を英語で行い、入学定員の約3割は海外からの留学生を集める計画です。国際地域学科もグローバル・イノベーション学科と連携し、日本の大学としての国際化のレベルにとどまらず、もっと外に開かれた国際的な大学、そして学科を目指します。

高島 大学の国際化ではなく、国際的な大学になるという考えは心強く感じます。特に、途上国の将来を担う人が、日本の大学に留学し、日本社会に触れ、日本を理解して母国に帰り、親日家として活動してもらうことは、国際協力を進めるうえで非常に重要です。

芦沢 私は、大学間の国際通用性を高めて、欧州のエラスムスのように、自由に学生が留学しやすい環境を作っていくことが重要だと思います。東洋大学では、アジア版エラスムスを目指すUMAP(University Mobility in Asia and the Pacific)の国際事務局を2016年から引き受け、アジア全体の学生交流の拡大に貢献しようとしています。外国人留学生が日本でインターンをするプログラムの開発にも取り組んでいます。私が受け持つゼミには、フランスから留学してきて、現在はカナダの大学に再留学している学生がいますが、彼女のように国境を自由に行き来しながら各国の大学で学ぶことができるように、国際通用性の高い仕組みを作りたいと考えています。

高島 国際協力へのかかわり方には多様なコースやルートがあるので、国際協力への意思を持ち続ければ、参画する機会に恵まれる可能性は十分にあると思います。私は、20世紀まで西洋・近代文明に遭遇しなかった地域もある南太平洋のパプアニューギニア、30年にわたる戦火の下で過酷な暮らしをしてきたアフガニスタンなどに勤務し、さまざまな社会、そして人々の人生に触れてきました。学生の皆さんが世界と向き合うことで、自らの人生を豊かにする経験を得られることを願っています。

芦沢 今後、日本の大学から海外で評価される人材を輩出できれば、就職先の候補も、従来のように日本企業だけでなく、海外企業、さらには起業へと視野が広がるようになるでしょう。学生には、どこにいても自ら考えて行動し、活躍できる力を身に付けてもらい、できるだけ多様な選択肢を持てるようになってほしいのです。

※1 JICAの国際協力キャリア情報サイト「PARTNER(パートナー)」の詳細は以下のサイトをご覧ください。http://partner.jica.go.jp/

※2 本調査は、明治大学、東洋大学、一橋大学などの研究者が中心になって展開した科研費プロジェクトによるものです。詳細は以下のサイトをご覧ください。http://recsie.or.jp/project/gj5000/