プロフェッショナリズムと適応力を育てる 東洋大学
佐山 インテグラルが求めるのは真のプロフェッショナル人材です。指示されたことを行う人は知識や前例をもとに判断や行動をしますが、真のプロは本質を考え、知識や前例に従うだけでは解決できない新しい局面にぶつかっても、自ら切り開いていける人のことを指します。会社員として優秀な人材は組織の歯車として上手く機能することが求められますが、プロは組織から飛び出しても独自に機能できることが必要です。
今村 グローバル・イノベーション学科では、まさに佐山さんがおっしゃられた、自ら考え、専門性と責任を持って結果を出すプロフェッショナル志向のポテンシャルを備えた人材を育てたいと思っています。さらに、日本の従来型組織に働く縦の力だけではなく、横方向に人をつなぎ、ネットワークを築く力やリーダーシップを鍛えようと考えています。リーダーになるために重要なことは何だと思われますか。
佐山 リーダーがなすべきは、メンバーの気持ちを燃えさせて100%の力を引き出すことにあります。そのためには、まず人望が必要です。人望は他者を利用してのし上がろうとする人には集まりません。つまり私利私欲がないことが大事で、さらにはメンバーに仕事を面白そうだと思わせることが欠かせません。
今村 確かに、私利私欲がない人は他者との壁を作らずにコミュニケーションできるように思います。グローバル・イノベーション学科では「ひとと地球と対話する『哲学』の精神に水平志向のグローバルな才能を育成する」というスローガンを掲げ、学生には人と接するうえで守るべき哲学を持ってもらいたいと考えています。
佐山 私が人と話をする際に心掛けているのは、相手の話をしっかり聞くことです。相手の話から興味を持っていそうな分野を見つけ、その分野の話をすることが、円滑なコミュニケーションにつながります。そして、少し無理をしても、人と接する機会を増やすことです。1年365日の小さな積み重ねが、より多くの面白そうな人、コトとの出会いに導いてくれるはずです。
今村 多くの人や出来事との出会いは教育においても大切です。グローバル・イノベーション学科では、イノベーションを起こす人材育成を目指しますが、イノベーションを「新しい技術だけでなく、身近にあるものも含めて上手に結びつけ、創造的な組み合わせで、新たなニーズに応える商品、サービスなどを生み出すこと」と定義しています。そのような新たな組み合わせを得るには、さまざまな人とつながることのできる能力が前提になると考えています。