セミナーレポート

中小企業が成長を続け、生き残っていくための
経営戦略について考える

【基調講演】
事業拡大・事業継承のためのM&A活用法

M&Aキャピタルパートナーズ
代表取締役社長
中村 悟

ハウスメーカーの営業担当として事業譲渡の相談に応じていた経験を生かし、中小企業向けM&A仲介会社を設立、東証一部上場も果たしたM&Aキャピタルパートナーズの中村悟氏は「会社が自分の寿命以上に永続することや、夢に向けて成長することを願う経営者にとってM&Aは有力な選択肢です」と述べた。中村氏は、オーナーが株式承継について決めずに亡くなった結果、兄弟間の争いなど悲惨なトラブルになったケースを紹介し「決断の先延ばしは、会社や家族に大きな問題を残します」と強調した。一方で、良い相手に譲渡できたことで、会社は成長投資をしやすくなり、オーナーは創業利益を得て、個人保証も解除された例を紹介。国内M&Aは年間約2000~2500件(発表ベース)にとどまることから「もっとM&Aを活用して欲しい」と訴えた。同社は、企業評価や着手金・月額報酬を無料化し、負債を除いた株式価額を基準に算定することで成功報酬額も抑え、中小企業が依頼しやすい料金体系にしている。中村氏は「M&Aでは、買い手企業、譲渡企業、オーナーら関係者全員が幸せになることが大切です」とM&A普及に懸ける思いを熱く語った。

【経営者譲渡 体験談】
譲渡決断の経緯~そして今、思うこと

(譲渡オーナー)
メイン
代表取締役社長
山尾 百合子
(モデレーター)
M&Aキャピタルパートナーズ
企業情報第四部長
池ヶ谷 博章

博覧会コンパニオンや交通機関のスタッフなど、おもてなし人材を中心に約30年にわたり教育・研修、派遣事業を展開してきたメインの山尾百合子氏は「この会社を残すことが私の生きた証しになると思う年齢になり、社員の未来をつくることが社長の責任という思いが強まりました」とM&Aを検討した動機を語った。情報収集段階で、さまざまな仲介会社と会ったが「私にとって体の一部のような思い入れがある会社の譲渡の話なので、事務的な対応をされると気持ちが引きました。M&Aキャピタルパートナーズのアプローチは押しつけがましくなく、お相手先と大筋で合意するまでフィーがかからないという点でも安心でした」と、同社を選んだ理由を説明した。譲渡先としてジャスダック市場上場のマーケティング会社、シイエム・シイを選んだ理由については「社長をはじめ幹部との面談で将来についてさまざまな話ができ、先方の会社を訪問して感じた雰囲気も、うちの会社に合うと感じました」と相性を強調。「M&Aにはネガティブなイメージを持っていた」という山尾社長だが「決断は大変でしたが、今は会社を成長させる良い選択肢だと思っています」と語った。

【まとめ】
M&A成功のポイント
M&Aキャピタルパートナーズ
代表取締役社長

中村 悟氏

最後に、中村氏が買い手側、譲渡側それぞれの立場から、M&A成功のポイントをまとめた。買い手側については、M&Aをすることで実現したい「明確な夢、将来像が原点」と強調。「原点を忘れないことにより、自社にとって妥当な条件も決まってきます」と述べた。買収候補は、エリアや規模を明確にすべきで、社名まで示すケースもある。交渉は、相手に敬意、真摯な姿勢を示し、信頼関係を構築することが重要だが、相手企業の状況は的確かつ網羅的に把握し、特にリスクはプロの目でチェックする。一方、譲渡側は「後継の子どもがいるか」「子どもに継ぐ意思と能力があるか」「継がせていい会社・業界か」の3点いずれかがクリアでなければM&Aが選択肢になると指摘。目的と優先順位を整理して交渉に臨み、引退まで3年程度の時間を見ておく必要を示した。高い評価につながるのは、大手のシェア争いがある業界、新規参入が難しい業種、右肩上がりの業績といった環境がある場合だが、財務・組織面の準備も評価される。最後に中村氏は「オーナーは、決済前に周囲に相談できないので、ひとりで決断せねばなりません」と覚悟を促した。
 

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