セミナーレポート

2年後の未来を今、体感せよ!

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IoT時代の経営
−経営者視点でのIoT

エスキュービズム
代表取締役社長
薮崎 敬祐
実業家
堀江 貴文氏
 
コルク代表取締役社長
佐渡島 庸平氏

モデレーター
東洋経済新報社 編集局編集委員 福井 純

トークセッションは、経営者視点からIoTについて語り合った。今のIoTブームについて、クリエーターのエージェント会社、コルクの佐渡島庸平氏は「IoTという言葉は幅広すぎて議論を混乱させるのでは」と印象を述べた。実業家の堀江貴文氏は「IoTはメディアのレッテルだが、小型のコンピュータを高機能の携帯電話と呼ぶことで普及したように、キャズム(溝)を超えるには、そうしたマジックワードが必要」と主張。エスキュービズムの薮崎敬祐氏も「ITで便利にしようと伝えるため『産業リノベーション』という言葉を用いていたこともありますが、今はIoTを使っています。言葉は重要です」と同意した。

今後のIoTの影響について、堀江氏は「われわれの祖先は、食べるためにたくさんのつまらない仕事をしてきたが、IoTによる自動化で、そうした仕事をしなくて済むようになるでしょう」と予測。佐渡島氏も「リアルな場にゲームを持ち込んで見立てを変えれば、つまらないことも楽しめるようになります。単純な仕事がなくなるこれからは、どう遊ぶか、が大きなビジネスになるでしょう」と見通した。

薮崎氏は、この流れを踏まえて「何を、どう進めるかというディレクションは、人の仕事として残るはず。IT活用の有無で人の生産性には大きな違いが生じます」とIT活用の重要性を強調した。

さらに薮崎氏は「最近では、カーナビよりもスマホのナビゲーションアプリの方が、使い勝手やタッチパネルの精度がいいことがあります。既存の考え方にとらわれず、もっとユーザー視点に立つ必要があると思います」と話した。

堀江氏は、仮想通貨を用いた投票システム、ブロックチェーン技術を使ったプラットフォームといった最新の技術について言及。これらの仕組みを使うことで「スモールIPOの比ではない数十億円の巨額資金を調達することもできます。仮想通貨を使った投票システムは、直接民主主義を技術的に可能にするでしょう」と社会への影響を指摘した。

こんなIoTがあったらいいな会議
−生活者視点でのIoT

左上から、総合司会の内田恭子氏とペナルティ・ヒデ氏、板尾創路氏、レイザーラモンRG氏、トレンディエンジェルたかし氏、トレンディエンジェル斎藤司氏、明和電機 土佐信道氏、三秋里歩氏

トークライブでは、お笑い芸人らを迎え、生活者視点のIoTを考えた。最初に、今年8月エスキュービズムなどが開催した『お笑い×IoT』をテーマにしたイベント「IoTハッカソン」の受賞作品が披露された。最優秀作品の面白法人カヤックチームの「モーカリマイク」はステージ上の漫才に出てくる会社名、製品名を広告として表示、その芸人に広告費が入る仕組みを提案。『技術力があるで賞』を受けた、都エアラインチームの「た(わむ)れまく」は、聴衆のコメントを半透明の幕に表示し、芸人がそのコメントを投げ捨てたり、強調できる仕組みを見せた。

続いて、登壇者らが、IoTを使ったアイデアを提案。「会った人の名前を相手に気づかれずに教えてくれる」など、“身近な課題”を解決するシステムを提案し、会場の笑いを誘った。

オーディエンスと共にIoTを仕分けせよ
−事業担当者視点からのIoT

モデレーター
エスキュービズム
取締役 真田 幹己
ウフル
八子 知礼氏
ユカイ工学
青木 俊介氏
共同印刷
田邉 憲一氏
ニフティ
三竹 兼司氏

カンファレンスミッションでは、事業担当者視点から、IoTを住まい、ロボット、買い物の分野に使ったサービスの可能性を論じた。IoTを活用した家庭向けネットワークサービスを提供しているニフティの三竹兼司氏は「おひとりさま女性の調査では帰宅時に明かりが点いている機能への関心が高いなど、ニーズはさまざまだが、普及するでしょう」と見通した。IoTプラットフォームやコンサルティングを提供しているウフルの八子知礼氏は「家の中で、音の検知などをやり過ぎると窮屈になるのでは」と疑問を呈した。ユカイ工学が提供する留守番の子供の見守りなどに活用できる家庭用コミュニケーション・ロボット、BOCCO(ボッコ)について説明した青木俊介氏は「高齢者は音声で家電を動かすニーズがあるかもしれない。どこまでやるかは住む人によるのでは」と考えた。

ロボットを使ったサービス、業務への活用の可能性について、IoTを使い店頭でのCRM(顧客管理)を提供する共同印刷の田邉憲一氏が「正確性、平等性が求められる作業はロボットに向くが、おもてなしの部分は人が欠かせない」と指摘。真田幹己氏は「ロボットによって仕事を奪われると反発する人の間に普及するのか」と問いかけると、青木氏は「ロボットの定義は広く、IoTと同様の意味になっている」。

八子氏は「ロボットが人型である必要はなく、機能としてのロボットは生活の中に入ってくるでしょう」と述べた。IoT×買い物はバーチャルコマースについて真田氏が「クリック一つで買えるネットショップでは感情や高揚感を味わえないのでは」と問題提起。青木氏は「好きなブランドの空間をライブ感覚で楽しみたいニーズはあると思う」。田邉氏は「リアルをカバーする形でバーチャルが浸透する」と予測した。三竹氏は「視覚以外に触覚や嗅覚を伝える研究も進んでいる」と指摘。会場内アンケートでも「バーチャルコマースは浸透する」という意見が8割を占め、八子氏は「ネットショッピングだけでは飽き足らない部分もあるということではないか」と述べた。

最後に、真田氏が「IoTの事業化では、提供者自身が、お金を払ってでも、その製品、サービスを使いたいか、がポイントです。このセッションのように、欲しいものを自由に考えるとアイデアが出ると思います」と語った。
 

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