稼ぐ力を引き出す
ビジネスモデル・イノベーション
経営者講演 中小企業の生き残り戦略
生き残る力=企業力を鍛えるクラウド活用
京都の建築会社、流体計画の山田英樹氏は、セールスフォースを活用して飛躍的成長を遂げた経験を語った。約10年前の導入時の状況について山田氏は「大量案件に忙殺され、社内の連携も不十分だったために放置や取りこぼしも目立っていました」と振り返る。そこで、システム導入を検討する中で、セールスフォースに出会った。クラウドサービスなので初期投資が少なく、外回りに出たままでも使えるモバイル対応、年末にダウンロードして年明けには基本的機能を稼働できたほどの導入期間の短さ、やりたいことを正確に伝えれば実現できる対面開発方式などが決め手となった。
導入後は、従業員数人で一千件以上の案件をきちんと管理できるようになり、見積もりや稟議など社内業務フローを確立したことでコスト管理も厳格化できた。クローズドにできる社内ソーシャルネットワーク機能「チャター」で社内コミュニケーションも円滑になり、現場の日々の進捗状況を写真で見せる顧客サービスなどにも活用できている。財務データも常にリアルタイムの数字を示せることで銀行の信頼も得られた。山田氏は「建設業界は縮小が続き、今後も爆発的増加が見込めません。その環境で成長するには、業務をスピードアップして、お客様との対話に時間をかけることが大事です」と、IT利用のメリットを語った。
特別講演 イノベーションと経営
イノベーションの神髄
~革新を止めているものは何か
~革新の実践的な起こし方
エアバッグ研究開発に従事して日本初の商品化を実現した元本田技研工業の小林三郎氏は「イノベーションをやらない国、企業は滅びる」と力説し、自身の体験を通した革新の起こし方を語った。「今起きていることは、若い人にしかわからない」という本田技研工業創業者の話を引いた小林氏は「イノベーションは10人中9人が反対することの中にあります。過去の経験・知識を蓄積した人は、分別が邪魔してイノベーションはできません」と述べ、40歳を過ぎた人は自分でやるのではなく、若い人に対するイノベーション・マネジメントに徹するよう訴えた。
マネジメントのやり方については、「理解できないのだから内容で判断してはいけません」と強調。本質とコンセプトからなる「答え型」と「目」で見た判断を求めた。小林氏は、イノベーションの核となるコンセプトづくりのポイントとして、現場を見て高質な原体験をすること。多様な6~7人が集まって議論を行い、常識から外れた天才の領域に当たる部分の感度を上げる「ワイガヤ」によって未来価値のコンセプトを創出すること。失敗を恐れずに「やってみる」こと――の3点を挙げた。最後に「挑戦して失敗することを恐れるより何もしないことを恐れろ」という前出創業者の言葉を引用し、会場に向かって「新しいことに挑戦を」と呼びかけた。