再生可能エネルギーの普及拡大に向け
ソフトバンクグループの総合力で志高く長期的に取り組む。
SBエナジー
東日本大震災の教訓を元に誕生。
国内トップクラスの発電事業者へ
SBエナジーが設立されたのは2011年10月、まだ固定価格買取制度が始まる前だった。設立の経緯を、副社長の藤井宏明氏は次のように振り返る。

藤井 宏明
「発端は同年3月11日に発生した東日本大震災です。当社グループの通信網も大きな被害を受けました。早急に通信設備の復旧を行ったのですが、電力はなかなか供給されませんでした。ソフトバンクグループ社長の孫正義はそこで、通信事業者の社会的使命の一つとして、再生可能エネルギーに取り組むべきと考え、自らが代表となりSBエナジーを設立したのです」
知名度のあるソフトバンクグループが率先して取り組むことが、電力業界参入のモデルケースとなり、異業種からの参入を促す狙いもあったようだ。その後の市場の活性化は周知のとおりである。同社自身も急速に成長している。
設立時、孫氏は「早い段階に、再生可能エネルギーによる発電所を最低10カ所、発電容量最低200メガワットを目指す」と語った。設立から5年を経た現在、その目標を大きく上回り、国内最大級の「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク」をはじめ、運転開始済みと運転開始予定(建設中)の発電所は国内外35件、発電容量の合計は約559メガワットに達している。特に主軸となるメガソーラー発電事業では、自らが事業者となり企画・建設から運転開始後の運営まで一貫して携わっている。

メガソーラーの「アセットマネジメントサービス」がスタート
新たな取り組みもスタートしている。16年6月には、メガソーラーの開発・運営に関わる業務全般をワンストップで引き受ける「アセットマネジメント」サービスを開始した。具体的には、設備の維持管理、資金調達、特定目的会社(SPC)運営、資金管理、地権者・行政対応、地域貢献などの業務である。
「当社は現在、北海道から九州までに25のソーラーパークを運営しています。これまでは独立系発電事業者(IPP)として事業を展開してきましたが、これらの実績や蓄積したノウハウをご提供できないかと考えていました。『ソフトバンクと同じ水準で管理してもらえないか』というご相談も多く、サービスを開始しました」と、藤井氏はその狙いを語る。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の導入により多数の事業者が参入したが、買取価格の引き下げなどにともない、明暗が分かれつつある。中でも、発電所の建設を主たる目的にし、建設後売却して短期的に利益を得ようとする企業は苦戦を強いられているようだ。