日本企業の「稼ぐ力」を高めるために
CRE(企業不動産)マネジメントが
ますます重要に。
ジョーンズ ラング ラサール(JLL)
グローバル市場で戦うために
日本企業に「稼ぐ力」の向上が求められる
福島 伊藤先生は、経済産業省が取り組む「持続的成長への競争力とインセンティブ〜企業と投資家の望ましい関係構築〜」プロジェクトの座長を務められ、2014年8月には「最終報告書(伊藤レポート)」をまとめられました。
日本企業に対して、最低限8%を上回る株主資本利益率(ROE)を達成することを提言されたのが大きな特徴です。
伊藤 「ROE最低8%」を明示した背景には、日本企業が陥っていた「持続的低収益性」のパラドックスがありました。日本の製品はイノベーション創出という点では国際的にも評価されていました。ところが、それを生み出している企業の収益性はずっと低かったのです。これを解消し「稼ぐ力」を企業が高めなければこの国の将来は危うくなります。
課題の解決のためには、一部の企業だけでなく、全体最適の視点で「インベストメント・チェーン(資金の拠出者から、資金を最終的に事業活動に使う企業までの経路)」にかかわる主要プレーヤーの意識を改革する必要があります。その問題意識から、約1年の議論を経て発表したのが「伊藤レポート」です。
「伊藤レポート」の発表時にはまず海外から「日本が変わりつつある」と、大きな反響がありました。それに応えるように日本企業でもROEを意識するようになった経営者が増えてきたと感じています。
福島 企業が「稼ぐ力」を高めるためには、売り上げを伸ばすこと、コストを抑えることの二つが必要です。ジョーンズ ラング ラサール(JLL)では不動産分野において収益の向上やコスト削減につながるサービスをグローバルに提供していますね。
河西 はい。欧米の多国籍企業では、所有・賃貸している不動産の管理を本部に集約し、一元的・戦略的に運用・管理しているところがほとんどです。さらに、当社のような総合不動産サービス会社に業務をアウトソーシングするところも少なくありません。一元的かつ戦略的なCREマネジメントを行うことにより不動産関連コストを約3割、金額にして百億円単位の削減ができた企業もあります。
一方で日本企業では、総資産のうちに不動産の占める割合が20%強と、欧米企業に比べて高いにもかかわらず、その効率化や適正化が遅れています。自前主義で、固定費が大きくなっているところもあるようです。当社は日本および海外の投資家・事業法人向けに、不動産の生み出す収益を拡大し、その所有・使用コストを適正化する各種サービスを包括的に提供しています。