競争力強化、新規ビジネス創出のカギとは クラウド、ビッグデータの利活用で新たな価値創出を
――そうした、新しい時代、新しいビジネスを支える情報インフラの要件はどうなりますか。
山野: クライアント/サーバー型が主流の時代には、業務アプリケーションごと、部門ごとにサーバーやストレージを用意していました。この垂直統合型の情報インフラではビジネス環境の変化に即応してシステム構成を変更するのは困難です。
そこでEMCでは、水平統合型の情報インフラを提唱しています。これは、仮想化技術を用いてクラウド上のサーバーやストレージ、ネットワーク、セキュリティなどの機能を抽象化し、プール化されたリソースを自動化された運用基盤の上で展開できる情報インフラです。EMCは、この課題を解消する製品を今年5月のEMC Worldで発表しました。
成長戦略を支援する情報インフラ
――その新製品は、どういった製品で企業、データセンターの情報インフラやビジネス環境をどのように変えていくのでしょうか。
山野: これまでのIT環境は、アプリケーションとサーバー、ストレージをそれぞれ1対1で物理的にひも付けていました。あるアプリケーションでストレージ容量が足りなくなった場合、ほかのストレージ容量が余っていても融通が困難でした。
こうした課題を解決するのがソフトウェアで定義されたストレージSoftware-Defined Storage(SDS)です。それを業界で初めて実現する製品としてEMCはViPR(ヴァイパー)という製品を発表しました。 ViPRはストレージの抽象化、プール化、自動化を実現するミドルウェアの役割を担います。特徴は、EMCのストレージだけでなく、他社製のストレージも仮想化・抽象化でき、企業ユーザーはサービスカタログから必要なストレージ容量を選んで増やしたり、減らしたりすることが可能です。
たとえば、新製品のキャンペーンでモバイル用アプリを配布する際、アクセスが集中するときにストレージ容量を増やし、キャンペーン終了後に減らすといった柔軟な運用が行え、企業の成長戦略に応じたIT環境を俊敏に利用できるインフラを提供します。
――新会社Pivotal(ピボタル)を設立しました。
山野: アプリ開発環境の重要性が高まる中で、Pivotalはそのプラットフォームを提供します。ビッグデータを処理するアプリを素早く開発するためのビッグ&ファストデータや、プライベート、パブリックを意識しないでアプリを開発できるマルチクラウドなどに対応します。ストレージ、インフラ、アプリ開発環境の抽象化を通して、新たなビジネスの取り組みをスピーディに実行できる環境づくりに貢献していきたい。
EMCジャパンでは、クラウド、ビッグデータ、トラスト(情報セキュリティやデータバックアップなど)を中核に情報インフラのリーダーとして、企業のIT環境を強力に支援するとともに、ビジネス価値の創造に貢献していく考えです。