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マーケティングは経営戦略そのものです

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CMOとCIOの連携が欠かせない

―― マーケティング戦略の立案・遂行にCMOの役割は大きいのですか。

井上 哲浩(いのうえ あきひろ)氏
慶應義塾大学大学院経営管理研究科
ビジネス・スクール 教授
1987年関西学院大学商学部卒業、1989年同大学院商学研究科博士課程前期課程修了、1996年カリフォルニア大学ロサンゼルス校経営学博士(Ph.D.)。関西学院大学商学部教授などを経て、2006年慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授。

井上 職位としてのCMOと、機能としてのCMOの二つの役割があります。日本では職位としてのCMOはそれほど広がっていませんが、機能としてのCMOは企業に定着しつつあります。経営企画部門や製品開発部門の役員がマーケティング部門を担当するのも、その一例です。職位はともかく、製品開発から販売、広告まで一貫した戦略がなければ効果的なマーケティング活動はできませんし、ROIも見えてきません。

マーケティング戦略と情報技術が不可分になる一方、ITにそれほど詳しくないというCMOもいるかも知れません。そこで、CIO(Chief Information Officer)の手を借りるのも一つの方法です。自社の成長戦略に向け、ソーシャルメディアなどビッグデータの中からCMOがどんな情報を必要としているのか、ITを理解しているCIOがデータの切り出しを支援するのです。いずれにせよ、今後、ITに精通したCMO、マーケティングを理解するCIOの役割が大きくなることは間違いないでしょう。

デバイスに応じてコンテンツ変更を

―― 顧客体験を高めるため、ソーシャルメディアや情報技術をどのように活用すればいいのですか。

井上 効果的なマーケティング活動を行うには、顧客がどのような通信インフラやデバイス、ソーシャルメディアを利用しているかを把握する必要があります。たとえば、高速通信が可能なパソコンやスマートフォンでソーシャルメディアを利用する人には、よりリッチなコンテンツを提供するというように、端末に応じて発信するコンテンツを変えることで顧客体験を高められます。

そして、ソーシャルメディア上の顧客の反応をモニタリングするソーシャルリスニングも重要なポイントです。ビッグデータを収集・分析して自社の製品・サービスに対する評判などを解き明かし、マーケティング戦略に反映するといったPDCAをうまく循環していくことが成長戦略の第一歩になります。

―― マーケティング戦略はまさに経営戦略そのものですね。

井上 ええ、その通りです。マーケティングは経営戦略であり、組織を活性化させる役割を担います。今後、マーケティング戦略と情報活用がますます密接に結びつくとともに、デジタルマーケティングの遂行を通じて企業経営を変革していかなければなりません。

そのため、マーケティング担当者は情報技術のほか、統計学や情報工学などマーケティングサイエンスの知識も必要です。より効果的なマーケティング戦略に向け、マーケティング人材の育成が企業に求められるでしょう。

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