マーケティングは経営戦略そのものです

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デジタルメディアが急速に広がる中、顧客体験を高めるセキュアで魅力的なウェブコンテンツの作成やビッグデータの分析など、情報技術を最大限に活用したマーケティング戦略が企業に求められている。マーケティングROI(Return On Investment)の考え方やCMO(Chief Marketing Officer)の役割などについて、慶應義塾大学大学院教授の井上哲浩氏に聞いた。

マーケティングROIが注目される理由

―― マーケティングにもROI、投下資本利益率の考え方が浸透しています。

井上 企業の経営環境が厳しくなり、より効率的に経営資源を使わなければなりません。企業の経営資源は人、モノ、金、情報と言われますが、とくに情報をいかに活用するかが、マーケティング戦略で重要になっています。

そして、企業のマーケティング戦略を担う専門家としてのスキルがマネージャーに求められています。投資に対してどれだけのリターン(成果)が得られるのか。きちんと投資対効果を計算し、説明責任を果たすためにもマーケティングROIが注目されているのです。

このリターンとは、収益の向上だけでなく、顧客を維持・獲得するロイヤルティにも適用できます。そのため、ビッグデータ分析をはじめとした情報技術を積極的に活用していく必要があります。

―― 顧客のロイヤルティとビッグデータはどんな関係があるのですか。

井上 たとえば、契約者数がすでに飽和状態にある成熟した市場において、顧客の維持・獲得は大命題です。顧客が他社に乗り換えないようにするには、競争力のあるサービスに加え、魅力的なコンテンツの提供がカギを握ることがあります。そこで、ソーシャルメディアで話題となっているコンテンツにはどんなものがあるか、ビッグデータを収集・分析してさまざまなトレンドを浮き彫りにすることができます。

さらにビッグデータと自社の顧客データを連携させながら、ロイヤルティを高めるためのマーケティング戦略をつくっていくのです。ここで大切なのは、マーケティング戦略とリターンの目標を明確にしたうえで、ビッグデータを取り扱うことです。ソーシャルメディアをはじめ、膨大な情報が世の中にあふれています。自社に必要なデータは何なのかを見極めることなく、的確な分析は行えません。

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