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明確な教育のビジョンに基づいた高大間相互理解の深化が不可欠 特別広告企画

  • 企画・制作:クロスピア
未来を担う人材育成に向けて、高大接続改革が進行中だ。武蔵大学の山㟢哲哉学長に、大学の進むべき方向と、具体的に実施している改革方策について伺った。
山㟢 哲哉(やまさき・てつや)
武蔵大学 学長
1957年山口県生まれ。1981年早稲田大学第一文学部卒業、1990年同大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得退学。1991年武蔵大学人文学部専任講師、1993年同助教授、2000年同社会学部教授。社会学部長を経て、2014年より現職。『アイデンティティと社会意識』『戦後日本の社会変動と社会意識の変化』など、著書多数。

教育方針とのマッチングで大学を選ぶ姿勢が大切

現在、大学教育、高校教育、大学入試の3つの改革を同時に行う高大接続改革が進行中です。高大接続で軽視されがちな重要なポイントは、大学の個性を高校生にどう理解してもらうかという点にあります。大半の高校生は、偏差値と学問領域、知名度、通学距離、キャンパスの雰囲気などで大学を選択しているのが実情だからです。

医師や看護師といった職業に直結している学部の場合は、学生も職業イメージを持ちながら学ぶことができます。しかし、文系学部の場合は、学ぶ内容も、将来の職業も明確に意識しないまま入学するケースが大半でしょう。18歳の時点で本当に自分の将来を決められるのかという問題はありますが、それでも、大学のカリキュラムや教育内容をしっかり調べた上で、自分がその教育を受けてみたいかどうかで判断するのが賢明な方法です。

入学してから文系・理系を問わずあらゆるコースが選択できるカリキュラムを持つ大学もあれば、世界最先端の学問研究に重きをおく大学もあります。あるいは地域に根ざし、実学に特化した教育に力を入れる大学もあります。

武蔵大学は創立以来、徹底した少人数教育を重視し、「ゼミの武蔵」を標榜してきました。ゼミは4年間必修で、教員や仲間との親密な交流の中で、幅広い教養を培うリベラルアーツに重点を置いた教育を展開しています。こうした学びのスタイルは高校生にとって具体的にイメージしづらいものかも知れません。そこで高校などと連携して共同学習に取り組み、高校生が大学の教育に触れる機会を数多く提供しています。こうした高校と大学の相互理解を深めることが、今後の高大接続で重要になってくると思います。

グローバル教育の推進で学生の可能性を広げる

大学教育改革では、グローバル化への対応も極めて重要です。すでに日本では外国人との共生は当たり前であり、コミュニケーションツールとしての英語の習得は喫緊の課題といえます。ただし重要なのは、英語を習得することだけでなく、英語力でどんな学びを展開していくかです。そのためには、学部の特性に応じたグローバル教育プログラムを開発する必要があります。

本学の経済学部は、昨年からロンドン大学との間で「パラレル・ディグリー・プログラム(PDP)」を展開しています。これは、ロンドン大学が認定した本学教員が、ロンドン大学の「国際プログラム(IP)」の授業を英語で行い、約4年間で両大学の学位を取得するものです。

語学の成績などで選抜された学生は、2ヶ月間の海外英語研修を含む徹底的な語学教育を受け、半年間でIELTSのスコアを5.5まで引き上げてから「基礎教育プログラム(IFP)」を受講します。試験に合格すると「国際プログラム(IP)」の受講に進めます。最終試験に合格すれば、留学せずロンドン大学の経済経営学士号を取得できるわけです。また、ロンドン大学に係わる費用の半分を大学が負担しています。

そして、人文学部と社会学部でも2017年4月からグローバルプログラムが始まります。

人文学部の「グローバル・スタディーズコース(GSC)」は、語学力を鍛え、海外の文化理解や日本の文化を外国語で発信する能力を身につけるものです。学科共通の「英語プログラム」では、1年次からすべて英語で授業を受け、グローバルな問題を英語で考えるトレーニングを行います。そして3年次には原則として留学し現地の文化理解に努めます。

学科によってドイツ語、フランス語、中国語、韓国・朝鮮語のプログラムも用意しています。それぞれの専攻言語と英語を習得した“トリリンガル”となることを目標に、文化交流の礎となるような人材育成を目指します。

一方、社会学部は「グローバル・データサイエンスコース(GDS)」を開設します。グローバル化された現代社会では、ネット空間などに蓄積されたビッグデータが大きな影響力を持ちます。その多くは英語がベースのため、このコースでは英語の特訓を行った上で、実際のビッグデータを使い、社会学の手法を駆使して分析できる能力を育成します。留学や国際ボランティア、海外インターンシップなども推奨しており、データ分析力を活かしてグローバル社会で活躍できる人材を育てます。

このほか、テンプル大学ジャパンキャンパスとの間で単位互換協定を結んでおり、日本にいながら英語によるアメリカスタンダードの授業を受けることができます。テンプル大学本校との間ではダブル・ディグリー制度を開始する検討も進めており、グローバルプログラムをさらに拡充させる計画です。

なお、キャンパスには無料で英会話レッスンや英語学習カウンセリングなどを受講できる国際村「Musashi Communication Village(MCV)」も設置しており、キャンパス内外で学生の語学力向上とグローバルな活躍を支援しています。

アクティブ・ラーニングに適した教育環境を整備

大学教育の質的転換への要請も高まっています。自ら課題を発見し、調べ、データを集めて分析し、議論し、報告するといった、いわゆるアクティブ・ラーニングと呼ばれるスタイルの学びが、先の見えない時代を生き抜く力につながっていくからです。大学だけに限らず、小学校から高校まで、今や教育界全体に、こうした能動的な学びへのシフトが求められています。

本学では、少人数のゼミによる教育が中心ですから、創立当初からアクティブ・ラーニングを実践してきたといえます。ただ、初年次生は自発的に動けない場合も多いため、各学部とも、ゼミでの学び方をテキストにまとめて使用するなど、早期にアクティブ・ラーニングに適応させる工夫をしています。

アクティブ・ラーニングを効果的に行うには、4~6人のグループが最適です。そのためには、机とイスが固定された大教室より、自由に机やイスを移動できる教室の方が適しています。本学も、固定式のゼミ室を順次アクティブ・ラーニングに適した教室に改築しています。その上で、個人用・グループ用のホワイトボードのほか、各自のノートパソコンの画面を自在に表示できるプロジェクターを設置し、活発な議論がしやすい環境を整えています。

このほか、クリッカーやスマートフォンを使った授業など、学生を受け身にさせない授業の工夫も行っています。今後さらに、アクティブ・ラーニングを促進する手段として、ICTを活用した授業を検討することになるでしょう。

キャリア教育の体系化と地域連携の充実も鍵に

大学が高等教育機関としての使命を全うしていくには、学生を社会の一翼を担う人材として送り出すことと、立地する地域の活性化に学生と共に取り組むことも必要です。

本学では、1年次から就業観を醸成する教育を展開しています。キャリアデザインをテーマにした総合科目や、就職活動が本格化するまでタイムリーに開催するキャリア支援ガイダンスを通して、キャリア形成について学びます。3年次はインターンシップや各種ガイダンス、4年次は企業説明会と、体系的なキャリアサポートに力を入れています。

また、ゼミ活動の発展形として、企業から課題を提示してもらい、3学部の学生が協働して解決策を考える「三学部横断型ゼミナール・プロジェクト」も2007年から実施しています。協力企業は、これまでに延べ74社に達しています。企業の実態に触れ、企業人と交流することで、キャリア意識が高まるため、参加学生の就職は好調です。

このほかにも、3年生全員に対して個別面談を実施したり、内定者を「就活サポーター」として起用したり、卒業生の協力を仰いで就職関連の相談に乗る「武蔵しごと塾」を開催したりと、きめ細かなキャリア支援を行っています。

地域連携では、近隣の2大学と共に「江古田カレッジトライアングル」を展開しています。地元練馬区の協力を得て、学生と地域住民が協力しながら様々なイベントを企画していますし、地元商店街が企画する音楽祭にも大学として全面的に協力していきます。

都心の大学は、地方の大学と同じような地域貢献の形をとるのは難しい面もあります。それでも、大学の学びを活かした連携のあり方を模索し続けていくことが重要だと考えています。