激動するニュースサイトの未来
【トレンドセッションII】
「分散型元年」における、真に注目するべき指標とは
媒体のファンはどこに価値を感じているのか?
ログリーは「コンテンツレコメンデーション」と「アドネットワーク」を柱に06年に創業。以来、一貫してメディア向けのソリューションを行ってきた。ログリーの藤澤裕人氏は「SNS、キュレーションからの流入でPVはアップしているが、一見さんの比率が高まる一方で、ターゲットユーザーが低下している」と指摘。ターゲットユーザーとは「ロイヤルユーザー」であり、彼ら彼女たちをより注視することがメディアのマネタイズにおいては重要だと説く。「広告主はPVばかりを求めているわけではない。重視しているのは、プレミアムなオーディエンスだ」という。
そこで、プレミアムなオーディエンス、ロイヤルユーザーを増やしていくための分析手法を披露。事例を紹介しながらファンを定着させていく取り組みの重要性を強調した。
【トレンドセッションIII】
コンテンツメディアによる新しいエコシステムの構築
日本ビジネスプレス社長の菅原聡氏は「マネタイズとコンテンツ・広告の流通は表裏の関係にあり、媒体社はコンテンツや広告を直接ユーザーに届けるモデルをもっと強化すべきだ」と指摘する。また、ユーザーデータこそが資産で「ユーザビリティを下げずに、素通りさせているユーザーをどう捕まえるかが大きな課題」であり、「ユーザーデータを献上する側になるのか、マネタイズする側になるのか?」と続けた。
具体的にはコンテンツメディア同士が連携し、共有型のプラットフォームでこれらの課題を解決することで、コンテンツに再投資が可能なレベルでのマネタイズを実現したいと考えており、「当社のメディアサイト構築支援インフラの上に、収益化のためのエコシステムを実現するプラットフォームを実装中なので、ぜひご参加を」と、会場のメディア関係者に呼びかけた。
【メディア討論】
激動するニュースサイトの未来
挑戦と変革
朝日新聞社の山盛英司氏は『朝日新聞デジタル』ほか、『ハフィントンポスト』『ウィズニュース』など多媒体を展開するデジタル戦略を紹介。一過性の話題に終わるのではなく、息が長く読まれる記事があることを示し、これからは課題となっている事象にフォーカスして具体的なアクションにつながるような「解決模索型報道を目指し、紙面とデジタルとの連携に注力する」と語った。『YOMIURI ONLINE』を展開している読売新聞社の原田康久氏は、強力なコミュニティに育っているコンテンツ『大手小町』にふれ、中でも、女性向けのネット版井戸端会議ともいえる『発言小町』は男性のユーザーも増えていると紹介した。朝日は高校野球、読売は箱根駅伝など、多くのキラーコンテンツを有しており、ともに「これまで新聞社が築いてきた歴史的な資産をデジタルに結び付けていく」と強調。
一方、読売新聞の原田氏は「新聞の究極の目的は社会貢献であり、ジャーナリズムを細らせないようにすることが使命」だとし、「ジャーナリズムこそ民主主義を守る最大のシステムであることを忘れてはならない」と締めくくった。