激動するニュースサイトの未来

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現在、ニュースメディアの主役は「紙」「テレビ」「PC」から「スマホ」へと移行しつつある。では、ニュースサイト運営者は、ユーザー環境に合わせて、多様なニーズにどのように対応したらよいのか。また、そこから適正な利益を得るためには……。9月13日に開催した「東洋経済オンラインメディア戦略セミナーAutumn」では、さまざまな視点からこれからのニュースサイトのあり方が検討された。

【オープニングトーク】
いちばん嫌なのは、知ったかぶり

女優
サヘル・ローズ氏
(聞き手:東洋経済オンライン山田俊浩編集長)

「メディアの使命は、今世界で何が起きているのかをきちんと伝えることではないでしょうか」。ニュースサイトのチェックを毎晩の日課としている女優のサヘル・ローズ氏が語る。中東では日本などの先進国と比べ情報が制限される場合が多く、「たとえば難民問題についても、メディアがあるからこそ、私たちは当事者の思いに触れることができる」と指摘。知ることで、次の行動につながることもあるだろう。「だからこそ、さまざまな角度から取材対象に迫り、報道してほしい。メディアには世界に発信する力があり、世界の多くの人たちをつなげる力を持っている」と、メディアの重要性をあらためて強調した。一方、日本では海外問題など世界の重要なニュースへの関心が低下している現状について、「メディアが導線を引くことで読者に”気づき”を与え、関心を高めていくことが大切だ」と語った。

【トレンドセッションI】
マスメディアからマイメディアへ
グローバルでのメディア業界変革事例

セールスフォース・ドットコム
セールスフォース・インダストリー本部
通信メディア業界担当ディレクター
石井 敏雄氏

セールスフォース・ドットコムの石井敏雄氏はメディア業界を変革するトレンドについて解説した。注目すべきは「デジタルディスラプション(破壊を伴う創造)が進展し、ネットワークにつながったコンテンツ配信が主流となる中で、新規参入者が登場。それらはデジタルコンテンツの流通で2017年度までに収益を倍増させる見込み」と指摘。とりわけ米国内では過去5年で新聞社の広告収入が半減する一方、新規参入者は個人の嗜好に合わせ、コンテンツ配信し、「パーソナライズされた顧客体験」へ大きくシフトしていると強調した。

そこで注目されているのが「マイメディア」であり、「お客様とのエンゲージメントを強化」することが重要だと石井氏は語る。いわば、「個人の嗜好を理解したうえで、お客様との接点を重視し、関心の高いコンテンツをタイミング良く提供すること」だと説いた。

【特別講演・インタビュー】
『Yahoo! JAPAN』のメディア事業戦略

ヤフーメディア・マーケティングソリューションズ
グループ長 上級執行役員
宮澤 弦氏

ヤフーの宮澤弦氏は、「15年5月、スマートフォン版をリニューアルし、タイムライン化した。目的はいかにアプリユーザーを増やすかだったが、スマホシフトは大幅に進行した」と語った。ヤフーは創業20周年。ヤフーのメディア事業のビジョンは「ユーザーの行動につながるメディア」になることだ。魅力的なユーザー体験を提供し「消費から次の行動へ」移すためにYahoo!JAPANアプリ、オリジナルコンテンツを強化し、つながりあるプラットフォームを構築。ネットで完結する世界への起点となる取り組みを拡大するという。

『Yahoo! ニュース』の取り組み

ヤフーメディア・マーケティングソリューションズグループ
メディアカンパニー長 執行役員
片岡 裕氏

また、『ヤフーニュース』の具体的な取り組みについて、ヤフーの片岡裕氏は「現在、月間150億PVを達成。PCとスマホの比率は35対65へ変化した」と紹介。さらにスマホが増加したことで「ユーザーが求めるコンテンツと消費行動が変化する」と指摘。起点力を高めるためにもビッグデータの活用が必要だと語った。

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