事業承継に新たな一手を
~優良企業から赤字企業まで~
中堅中小企業ならではの
多様なニーズに柔軟に対応
「多くの中堅中小企業は、経営者が高齢化し、そろそろ引退を考え出す時期に差し掛かってきている状況です。今後3年から5年ぐらいの間で、事業承継のニーズがさらに顕在化してくると考えています(図1)」と語るのは、新生インベストメント&ファイナンス(新生IF)取締役の大久保宏章氏だ。

同社は新生プリンシパルインベストメンツ(新生PI)グループの一員だ。新生PIグループは、新生銀行グループにおいて独自の投融資を展開しており、バイアウト投資やベンチャー投資を行う「新生企業投資」、事業承継・転廃業支援、不動産ファイナンスなどを行う「新生IF」を有している。
新生PIグループの大きな特長は、首都圏の中堅中小企業に特化し、創業・成長支援から事業再生まで、企業のライフサイクルに応じて支援するというユニークな取組にある。これが評価され、同社は一橋大学大学院 国際企業戦略研究科が主催する2015年度「ポーター賞」を受賞した。

大久保 宏章
大久保氏は「事業が成長期にある企業であれば、後継者にバトンタッチしたり、他社に売却したりすることも容易です。しかし、市場規模が縮小し、事業構造の転換を迫られていたり、経営者自身が、突如、病気になられたりすると、それも難しくなります。さらに中堅中小企業の場合は、法人だけでなくオーナー経営者やそのご家族など、個人的なご事情も考慮する必要があり、個別の対応が必要です」と説明する。
一定の規模以上の企業を投資対象とする大手プライベート・エクイティ・ファンドやレディメイドのサービス提供を得意とするメガバンクとは異なり、同社はオーダーメイドの金融サービスによる、最適なソリューションを提供する。
たとえば、オーナー経営者の中には、自分の保有する株式の一部を現金化して家族に残したいと考える人や、あわせて自分の個人保証を外したいと考える人も少なくない。また会社とオーナー経営者個人の貸借関係や取引関係を整理する必要があるケースもある。「これらの課題の解決のために、当社自身が優先株を使って、株を一部資金化するお手伝いをすることもあります。また当社が出資をさせていただき、オーナーの代わりに経営改善の道筋をつけさせていただいて、事業を発展することができる他の事業会社に橋渡しをすることもあります」と大久保氏は話す。