SUIT HACKS!スーツが困難な仕事を解決する ダーバン
現在、小山氏は執筆活動のほか、ブルームコンセプト代表取締役として多くの企業の新規事業や新商品の企画立案に携わる一方、名古屋商科大学ビジネススクール准教授、一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会代表理事を務めるなど幅広い分野で活躍している。そんな小山氏は企画・クリエイティブという仕事柄、カジュアルなスタイルで仕事をこなすシーンが多いように思えるが、実はスーツこそ、ビジネスシーンで自分の役割を果たすための重要なツールであると指摘する。
「独立して会社を立ち上げ、初めて代表という立場で仕事に向き合ったとき、あらためてスーツの大切さに気付きました。ビジネスでは各人が与えられた役割に応じて役を演じ分けることが重要になってきます。その意味で、スーツには大きな効果がある。特に私の場合、社長との面談やプレゼンなど、ここ一番の大事なシーンでスーツが重要なコミュニケーションツールとなってくるのです」
スーツは、自己表現の道具である
スーツを着れば、当然ながら背筋が伸びる。仕事に向かうときは、その「姿勢」で相手に自分の迫力や真剣さを伝えることができる。いわば、スーツを着ていること自体、相手にメッセージを伝えることになるのだ。小山氏は自らが日頃たしなんでいる日本の伝統芸能である能に重ね合わせて、スーツについて次のように語る。「能も役に応じて面(オモテ)をつけますが、面をつけたからといって、その人の個性が失われるわけではありません。むしろ、面をつけることで、自分らしさが際立ち、それぞれの役割を果たすことができる。同じようにスーツを着ることで自分らしさを演出しつつ、自分の役割も演じることができるのです」。
小山氏も他のビジネスパーソンと同様、社会人になって以来、長年スーツに親しんできた。最初のボーナスが出たときには、自分への投資として高価なスーツを買った思い出もある。「仕事着としてのスーツは、自分の仕事のクオリティともかかわってきます。いいスーツを着ると、いい仕事をしたいと思うからです。その意味では、ちょっと背伸びしたくらいのスーツを着て、自分を鼓舞することも必要ですね」。
40代となった小山氏は今、スーツならストライプなど少し柄が入ったものを好み、ネクタイはプレゼンのときのために、落ち着いた赤色を中心にそろえている。年齢を重ねるごとにスーツを着る楽しさもわかってきたという。「30代以降は、スーツを着るタイミングを選んだり、TPOを考えたりするようになりました。いわば、能動的に選択する場合が多くなったのです。今は自分にとってスーツは自己表現の道具になっています」。