電子書籍の正しい「読み方」、教えます 【第1回】専用端末がそろい踏み、「本好き」は増えるのか
――国内の電子書籍市場においては、専用端末のラインナップも出そろった感があります。成毛さんはすでにいくつか所有されているとか。
根が新しモノ好きですから。こういう新しい製品を見て、遠巻きに見ているだけの人は、次世代のビジネスパーソンとしては向かない。市場の変化を「なんだかわからないけど、面白そう」と思う感性が大事です。
ただし、製品自体は、各社ともに一長一短があります。見やすさという点では、液晶ディスプレーよりも電子ペーパーのほうが読みやすいです。電子ペーパーは、米E-ink社の技術を使った製品が使いやすいですね。明るいところでも反射しないし、暗いところでもディスプレーが明るすぎない。僕の妻は、寝室で使っていますよ。軽いので、ベッドで横になってまま読んでも疲れないのがいい、と言っています。
――電子書籍専用端末の機能や使い勝手はどうですか。
結論から言えば、まだまだです。ただし、今後も満点になることはないでしょう。
と言うのは、僕のように、日常的に大量の本を読む人たちは、紙の本を読んでいるのと同様に、電子書籍専用端末を扱いたいわけです。見出しを拾って、気になるページだけを読んだり、パラパラとページを繰って斜め読みをしたりといったことは、電子書籍専用端末ではしづらい。
電子書籍専用端末はあくまでも本を読むためのツールにすぎません。その機能や使い勝手を比較検討するより、むしろ、その存在を意識しなくてもいいものであるべき。紙の本に近ければ近いほどいいんです。
ディスプレーに自分の顔が映ると興ざめです。紙の本に自分の顔なんて映らないでしょう? 額縁(ディスプレーの周囲のフレーム)もなくしてほしいね。