解雇解禁? 規制改革論に潜む“火種” 有識者会議の主張は抑制ぎみ、第1次安倍内閣の反省か

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小泉純一郎・安倍晋三の両政権下では、規制改革会議や経済財政諮問会議の提言は、政府案と一体のものとして推し進められた。これらの答申に載ってしまえば、政府も閣議決定においてこれを確認するという形で、自動的に政府案として固まってしまっていた。

安倍→福田政権への移行で当時の議論は鎮火

「脱格差と活力をもたらす労働市場へ」についても各方面で波紋を呼びながらも、07年12月末に発表された規制改革会議の第二次答申では、その内容はほぼそのまま盛り込まれた。ただし、安倍氏は07年9月に急きょ退任。首相は福田康夫氏に交代していた。福田政権以後は、自民党内からも「規制改革会議にいる学者は本当に現実がわかっているのかと言いたい」と強い批判がでるなど様相が変わり、そうした過激な議論は次第に鎮火していった。

およそ3年強に及んだ民主党政権を経て、再び表舞台にたった安倍首相。仮に今回の各会議での雇用をめぐる議論の本当の狙いが、6年前と同様、現在の雇用ルールを全面否定するのだとしたら、当時と同様に大きな波紋を呼ぶ可能性はある。高支持率の足元を揺るがせかねない“火種”を抱えながら、労働規制改革の議論は進んでいる。

(撮影:尾形 文繁)

風間 直樹 東洋経済コラムニスト

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かざま・なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。2014年8月から2017年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、2019年10月から調査報道部長、2022年4月から24年7月まで『週刊東洋経済』編集長。著書に『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』(2022年)、『雇用融解』(2007年)、『融解連鎖』(2010年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(2013年)など。

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