大規模プロジェクト遂行の“参謀役”、
PMOとは?
「東京ガスライフバル」の実現にも奔走

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「社内にはPM経験者もいますが、体系的に育成したわけではありません。本人がやったことのあるプロジェクトに類似したものであれば得意かもしれませんが、本事例のように前例のないプロジェクトの場合は、経験者はいなかったのです」と鴫谷氏は説明する。

きっかけもあった。あるプロジェクトを後日検証するために、PMOを提供する会社に診断を依頼していたのだ。

「その指摘がそれはそれは辛辣で、歯に衣着せぬ表現が並んでいました(笑)。ただ、辛辣ではあったんですが、的確だったんです」(鴫谷氏)

その診断をしたのが、マネジメントソリューションズという企業だった。

マネジメントソリューションズが
東京ガスでしたこととは?

PMOは、「プロジェクトマネジメントオフィス」という言葉のとおり、プロジェクトを集中的に調整するマネジメントの組織体とされる。いわば、PMの相談相手であり、参謀といったところか。

企業の中には社内の人材でPMOを組織するところもある。プロジェクトによっては外部のベンダーやコンサルタント会社がPMOの役割を兼任することもある。そのような形態と、PMOの専門会社との違いはどのような点なのだろうか。

鴫谷氏は、「ベンダーやコンサルタントの方だと、どうしてもかかわっている領域のマネジメントが中心になります。ほかのチームに遠慮してしまうことも少なくありません。その点、PMOの会社であれば、アウトプットするものがない分、PMOに専念できます」と語る。

このとき、東京ガスが依頼したのがマネジメントソリューションズ。05年の創業で、今ではPMOとして大手企業70社の300以上のプロジェクトに参加してきたPMOのリーディングカンパニーである。

当時のプロジェクトにおけるマネジメントソリューションズの役割は、鴫谷氏およびIT部門のPMをサポートすることだった。プロジェクトの状況把握、リスクや課題の分析などを行い、PMの意思決定の支援を行うのも業務の一つだ。

「たとえば、進捗報告をしていない人がいれば、本人のデスクに行って記入を促します。実際の進捗が記入内容と異なるチームがいれば、レポートで名指しされます。プロジェクトのメンバーからは嫌われる役回りですが、彼らの『空気を読まない』対応があったからこそ、進捗報告書の信頼性が高まり、正しい判断ができるようになりました」(鴫谷氏)

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