商品、サービスの電子化が
電子決済を浸透させてゆく

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ますます身近になる電子決済サービス

―― 電子決済は、ますます広まり、より身近になっているのですね。

杉浦 2012年6月の電子マネー発行枚数は前年比15%増の1億8217万枚(日本銀行決済機構局「最近の電子マネー動向について2012年」)で、国民1人当たりで計算すると1・5枚程度持っている計算になります。これは世界的に見ても断トツの普及状況と言えます。特に、公共交通に電子マネーが導入されたことで、定期券を兼ねてつねに持ち歩くようになり、日々の生活に欠かせないものとなったことが大きかったと思います。最近は電子マネーのユーザー間で送金できる機能も一部で登場し、あたかも現金のごとく使えるものも登場しています。

―― 小売りなどの事業者側も積極的に、この分野に参入してきています。

杉浦 交通系電子マネーは、切符をなくし、改札に人を配置しないで済むようにすることで、人件費などのコストを削減する狙いがありました。流通系でも、現金の扱いを減らし、釣り銭間違いを含めたハンドリングコストの削減が期待でき、さらに「誰が、いつ、どこで、何を買ったか」というデータを入手して、マス広告に代わり、ピンポイントで個人に広告を打つなど、利用者の囲い込み方を変える可能性も持っているのです。

日本型電子決済のグローバル化

―― これから電子決済はどうなっていくのでしょう。

杉浦 日本の電子マネーに使われているフェリカと同様の非接触IC通信(NFC)の国際規格も登場し、このICTのグローバル化が期待されています。日本でチャージして海外で使うといったボーダレス化が起こるかもしれません。しかし、国際規格のNFCでは、日本の駅改札のタッチ・アンド・ゴーのような素早い反応が求められるシーンには対応できません。携帯電話同様に、日本型の非接触IC、フェリカもガラパゴス化するという話がありましたが、日本の改札や切符の発券・予約技術には、海外の鉄道から高い関心が寄せられています。日本から新興国への新幹線輸出も注目されていますが、こうしたインフラ輸出と一緒に、法制度等も含めた電子決済の仕組みも輸出できれば、日本の規格を世界に広めることも可能ではないか、と考えています。