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【特別講演】イノベーションと経営
イノベーションの神髄
~革新を止めているものは何か~
~革新の実践的な起こし方~

中央大学大学院
戦略経営研究科
フェロー
小林 三郎

ホンダで国産車初のエアバッグシステムの研究開発に従事した経験を持つ、中央大学大学院フェローの小林三郎氏は「新しいことをやらない企業、国は必ず滅びます」とイノベーションの重要性を語った。エアバッグの研究は、当時の久米是志社長と創業者の本田宗一郎氏からしか支持を得られず、大半の役員が反対したことを振り返り、「10人中9人が反対することの中にしかダイヤはない」と話した。「知識と経験を蓄積させた40歳過ぎには、論理が通じるオペレーションはできても、アートに近いイノベーションはできない」という持論を展開した小林氏は、多様なバックグラウンドを持つ若手のグループが、顧客価値のコンセプト創りの議論を繰り返して暗黙知を増やしていく「ワイガヤ」の実践を強く推奨。

高齢者の増加、富士山の世界遺産登録といった社会の動きに目を配り、顧客にとっての新しい価値を実現するアイデアをつねに考えることの重要性を強調した。

一方、40歳過ぎの上司の役割は、若手の提案の本質に目を向け、解決すべき問題点を投げ返すことにあるとして、内容を判断してつぶすようなことをしないように訴えた。最後に、イノベーションに最も大切なものとして「想い」を挙げた小林氏は「挑戦して失敗することを恐れるより、挑戦しないことを恐れろ」という本田宗一郎氏の言葉で講演を締めくくった。

【経営者講演】 中小企業の生き残り戦略
生き残る力=企業力を鍛えるクラウド活用

流体計画 代表取締役
山田 英樹

京都市の建築会社、流体計画の山田英樹氏は、セールスフォース・ドットコムのシステムを使って事業を飛躍させた経験を語った。以前は「忙しく働いても、問い合わせに対処しきれないばかりか、儲かっているかどうかもわからない状況」だったことから、社内で情報共有を進めて、案件管理をきちんとやろうと、システム導入の検討を始めた。

数あるソフトウエアの中から、やりたいことが何でもできそうな点を重視して、セールスフォースを選択。導入は、年末年始休みの間に設定し、新年の営業初日に稼働できたほど迅速だった。導入後は、全員のスケジュールが可視化され、適切な営業活動を実現。稟議のシステムを活用し、見積もり数に焦点を当てながら売り上げ目標を管理したり、発注時に予算内で収めるようにコスト管理を徹底し、利益確保もできるようになった。受注見込みや会計情報は取引銀行との信頼関係構築にも貢献している。

1998年に町の水道工事業者として創業後、住宅建築、リフォーム業者として発展した同社は、木造ビル建築やゲストハウスの運営などのインバウンド事業、社内システムを同業他社向けに販売するIT事業にも進出。山田氏は「セールスフォースは、質の異なる事業にも対応できるシステムです。業務効率向上は、顧客とのコミュニケーションを増し、顧客満足にもつながっています」と語った。