日本ERIが切り拓く
建築市場の最前線
民間第1号の指定確認検査機関はいつまでも“パイオニア”
「14年には国交省から、『検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン』が公表されました。今後は、これらの調査により、既存建築ストックの活用がさらに進むと考えています」(増田社長)
ERIグループの売上高構成比でも、既存建築物に係る業務の割合が増えているという。着実に事業の柱の一つに育ちつつある。
人材こそが生命線
M&Aや海外も視野に
新築住宅着工戸数は将来的には減少することが予想されるが、政府が重要政策として進める既存建築ストックの活用などと同様に、建築確認や性能評価業務は依然として同社の中では成長分野とも言える。
「たとえば建築確認検査における当社グループのシェアは業界トップクラスを誇っていますが、それでもまだ7・7%程度です。当社が拡大できる余地はまだ大きいと考えています。また、今後は前述した既存建築物分野を中核事業化することにより、収益の拡大が目指せます。さらに、来年4月より実施される大型建築物の省エネ基準適合義務化も当社の業務の原動力になると考えています。ただし、懸念材料があるとすれば、人材不足です」(増田社長)
現在、建設業界は活況だ。大手ゼネコンをはじめ、どの企業でも技術系の学生など人材の採用や囲い込みに躍起になっている。検査機関が人材を獲得するのは容易ではない。そのために、今年から全国の建築にかかわる学生を対象とした「ERI学生デザインコンペ」も始めている。
同コンペでは、業界で活躍する建築家を審査員に迎え、ERIグループの理念である「良質なすまい・建物を実現し、安全で美しい街づくりに貢献」することを目的に、次世代を担う学生への支援の一環となることを目指している。取り組みを継続することで、同社グループの認知度の向上や事業への共感にもつなげていく狙いだ。
「検査機関業界の再編も進んでいます。人材の確保や市場シェアの拡大を目指し、M&A(合併・買収)も積極的に活用していきます。将来的には海外における事業展開を行うことを念頭に情報収集を行っています」と増田社長は力を込める。
ERIの成長の源泉は技術力に他ならないが、その技術力とは人材あってのものだ。経験と知見を備えた人材が多くいるからこそ、市場の変化やニーズを先取りし、持ち前の技術力を駆使してその解決方法を提供し続けることができた。ERIはこれからも人材を採り、育て、そして成長力を維持し続ける。