※2015 年 インドネシア政府統計
[協賛]森・濱田松本法律事務所

【オープニングスピーチ】
副頭取
守村 卓氏
三菱東京UFJ銀行の守村卓氏は、人口ボーナス期が続き、中間層の厚みが増すインドネシアにおける、生産基地と消費市場の両面の魅力を指摘。「有望な投資先として注目されるインドネシアへの理解を深めていただければ」と来場者に語りかけた。
【来賓あいさつ】
特命全権大使
ユスロン・イーザ・マヘンドラ氏
駐日インドネシア大使のマヘンドラ氏は、世界経済減速の中でも、港湾や鉄道網などのロジスティクス基盤と、発電能力増強に向けたインフラ整備に「本気で一生懸命に取り組む」と、強調した。2016年第1四半期の日本からの投資額は16億ドルで、15年の年間28.7億ドルを上回るペースで推移している。マヘンドラ氏は「インドネシアは皆さんの生産拠点、国際市場への輸出拠点としてベストチョイスになると信じます」と投資を呼びかけた。
【基調講演Ⅰ】
新投資ネガティブリストをはじめとした最新のインドネシア投資法令
投資調整庁(BKPM)長官
フランキー・シバラニ氏
インドネシア投資調整庁のフランキー長官は、開放性と競争力を掲げるジョコ大統領の経済改革に沿って16年5月に出された新投資ガイドライン(ネガティブリスト)の改正点を説明した。外資100%開放、もしくは50%超のマジョリティ出資が認められた分野が増えたほか、地方政府や他省庁がガイドラインに反するルールを打ち出すことを禁じるなど、投資家保護を強化した。具体的には、製造と関連するディストリビューターや冷凍冷蔵倉庫業、製薬原材料、現地中小企業とのパートナーシップを条件にしたeコマース、販売面積2000平方メートル超のデパート事業で外資100%を認めた。地熱発電や映画産業、職業訓練事業、観光業でも、外資比率の限度を緩和。経済政策パッケージでは、経済成長率とインフレ率を基に最低賃金を算定する計算式を定め、労働コストの伸びを予見可能にした。さらに、同庁はワンストップサービスや投資許認可3時間サービスなど利便性向上にも注力している。フランキー長官は「政府は引き続き改革・改善を進めます。日本からの投資は非常に貴重と考えており、ぜひ進出いただきたい」と訴えた。
【基調講演Ⅱ】
インドネシア経済の現状と展望
執行役員ジャカルタ支店長
勝田 祐輔氏
三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店長の勝田祐輔氏は、インドネシア経済の現状と見通し、課題を説明した。資源ブーム等に支えられたインドネシア経済は、2007年ごろから09年を除き、6%以上の高成長を続けてきた。しかし、資源価格下落を受け、15年には成長率4.8%に低下した。一方で、個人消費は安定的に推移しており、勝田氏は「このところは、成長率低下に歯止めがかかりつつあります」と分析した。同国経済は、資源輸出低迷で続く経常赤字が課題で「経常収支黒字化には国内工業力強化による産業構造の転換が必要」と指摘。資本収支は黒字になっているものの、直接投資より足の速い証券投資に大きく依存しており、通貨ルピアは変動が激しくなっているため「為替リスク管理は事業上のポイント」と強調した。現在のジョコ政権は、懸案だったガソリン補助金の改革・撤廃を断行。インフラ投資を拡大する予算編成と規制緩和等により、経済政策は望ましい方向に向かっている。今後について、勝田氏は「資源価格に左右されない持続的な成長に向け、インフラ整備が進展し、かつインフラ建設自体の総需要押し上げ効果も期待される」と見通した。
【講演Ⅰ】
インドネシア進出成功のための法務上の留意点
~現地最新動向を踏まえて~
東京オフィスパートナー弁護士
梅津 英明氏
シンガポールオフィス弁護士
塙 晋氏
ジャカルタ駐在経験もある森・濱田松本法律事務所シンガポールオフィスの塙晋氏は、インドネシアの外資規制について一部でも外資が入れば外資会社(PMA)と規定されると説明。今年のネガティブリスト改正で100%外資開放された事業の中でも関心が高い「製造業と関連するディストリビューター」については「インドネシア国内製品に限られるか海外製品も含むかなど細部は必ずしも明確ではなく、今後の議論や実務の動向を注視する必要があります」と述べた。合弁契約については、少数出資の場合、拒否権事項に何を定めるかが重要であり、一方、同国労働法制は労働者保護傾向が強く、解雇は労使間協議不成立になると、労働裁判所で長期係争の覚悟が必要である。さらに外国人労働者規制は強化されており、出張者は就労許可に当たる外国人雇用許可取得を求められないように現地での活動に注意すべきこと、を訴えた。
東京オフィスの梅津英明氏は日本の親会社側の留意点を解説。インドネシアは、不正の発生等のコンプライアンスリスクが比較的高いため「人手不足になりがちな現地に対して、本社からの危機管理支援を念頭に置くべきです」と述べた。
【講演Ⅱ】
インドネシア新規進出におけるリスクと対処方法
~中小企業が直面する運営課題~
PARK INDONESIA 取締役社長
永田 哲史氏
インドネシア進出の中小企業を中心に、レンタル工場とともに、総務、経営、労務面のサポートも提供している豊田通商テクノパーク・インドネシアの永田哲史氏は「中小企業は、経営や内部統制の人的リソースが限られ、リスクが高くなります」と述べ、具体的なリスクや対応策を説明した。労働運動が活発なインドネシアは、労働争議で操業停止になるケースも多く、未然防止には、従業員の声を聞くだけでなく、会社側も考えを発信し、双方向コミュニケーションを図るように求めた。税務では、更正通知が出る前の税務調査段階で状況を確認して対応することや、移転価格の正当性を説明できる資料を本社側が用意することが必要と指摘。地元地域との関係では、地元以外の業者と取引したために反発を受けたケースを紹介し、注意を促した。同社は、各企業に労務アセスメントや、税務申告のチェックリストを提供。各種許認可のメンテナンスでは、取得状況や期限、関連法令変更などを一元管理するサポートも行う。永田氏は「インドネシアで仕事をさせてもらっているという意識を持ち、長期視点で事業を行うことが大事です」と訴えた。