「人材育成に成功する経営者の考え方には
5つの共通点がある」
中堅中小企業の生き残りを決めるのは何か

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日本の持続的な成長や地方創生の鍵の一つとして、中堅中小企業の活躍が期待されている。その一方で、これらの規模の企業にとっては厳しい環境も予測されている。中堅中小ベンチャー企業を中心に人材育成・人材戦略に特化したコンサルティング会社、トーマツ イノベーションの田中敏志氏は「今後は、存在感を発揮し生き残る中堅中小とそうでないところの明暗が分かれるでしょう。それを決めるのがやはり人材です」と語る。さらに、数多くの企業を支援してきた経験から「人材育成に成功する企業では、経営者や経営幹部の考え方に共通点があります」と指摘する。その5つの特徴を解説してもらった。
トーマツ イノベーション株式会社
人材戦略コンサルティング第一本部
シニアマネジャー 田中敏志
大手製造業にて新製品開発の職を経て、2000年にトーマツ イノベーション株式会社の前身であるトーマツ環境品質研究所に入社。以来300社以上のコンサルティング、1000回以上の研修講師に携わる。現在、Biz CAMPUSのコンテンツ開発の責任者としてコンテンツ開発、研修講師育成に取り組んでいる。

まず前提として、人材育成に成功する経営者は、従業員の教育を人事・総務部門や営業部門などの現場任せにせず、自分が取り組むべきテーマとして積極的にかかわっていることが挙げられます。「よろしく頼む」「ちゃんとやっておけ」というだけでは、成果が出ないことを知っているからです。

たとえばOJT(On the Job Training)一つとってみても、「何を、どう指導すべきか」が明確になっていないと、OJT担当者(教える側)が代わるだけで教育の質が大きく変化してしまいます。特に、管理職といってもプレイイングマネジャーが多くなっている昨今では、OJTとは名ばかりの、「ひとまず連れて歩く」だけのものになりかねません。

そうならないためにも、経営者自らが人材育成の内容に関心を持つことが大切なのです。

 

人材育成に成功する経営者は、「人材育成とは、会社が将来どのように成長したいのかというビジョンを示し、そのために、従業員が『今、何をすべきか』という行動を起こせる状態に持っていくものである」と考えています。そのために不足しているものがあれば、研修などで補うわけです。

このような経営者はやみくもに「何でもいいから研修を受けろ」といったことは言いません。2年後、5年後、さらには10年後といったように、自社の成長ビジョンを描きながら、「いつまでに、誰に、どのように成長してほしいか、そのためにどんな研修が必要か」を考えます。

人事部門の方は場当たり的ではなく、体系立てた教育制度を整備できるようになります。従業員からすると、経営者から将来を期待されていることが伝えられるので、スキルアップすべき内容が明確になります。

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