「人材育成に成功する経営者の考え方には
5つの共通点がある」
中堅中小企業の生き残りを決めるのは何か
まず前提として、人材育成に成功する経営者は、従業員の教育を人事・総務部門や営業部門などの現場任せにせず、自分が取り組むべきテーマとして積極的にかかわっていることが挙げられます。「よろしく頼む」「ちゃんとやっておけ」というだけでは、成果が出ないことを知っているからです。
たとえばOJT(On the Job Training)一つとってみても、「何を、どう指導すべきか」が明確になっていないと、OJT担当者(教える側)が代わるだけで教育の質が大きく変化してしまいます。特に、管理職といってもプレイイングマネジャーが多くなっている昨今では、OJTとは名ばかりの、「ひとまず連れて歩く」だけのものになりかねません。
そうならないためにも、経営者自らが人材育成の内容に関心を持つことが大切なのです。
人材育成に成功する経営者は、「人材育成とは、会社が将来どのように成長したいのかというビジョンを示し、そのために、従業員が『今、何をすべきか』という行動を起こせる状態に持っていくものである」と考えています。そのために不足しているものがあれば、研修などで補うわけです。
このような経営者はやみくもに「何でもいいから研修を受けろ」といったことは言いません。2年後、5年後、さらには10年後といったように、自社の成長ビジョンを描きながら、「いつまでに、誰に、どのように成長してほしいか、そのためにどんな研修が必要か」を考えます。
人事部門の方は場当たり的ではなく、体系立てた教育制度を整備できるようになります。従業員からすると、経営者から将来を期待されていることが伝えられるので、スキルアップすべき内容が明確になります。