高度成長期の再来
─訪日外国人観光客3000万人時代の到来─
インバウンド消費の創発と 観光立国への挑戦

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山崎豪敏
東洋経済新報社執行役員
出版局長
訪日外国人観光客数は2015年に20年の目標だった2000万人に迫り、政府は20年に4000万人、30年に6000万人へ、目標を引き上げるなど、日本経済の成長分野として観光産業が注目されている。5月に東京・千代田区で「インバウンドサミット」が開催され、主催者挨拶で東洋経済新報社執行役員の山崎豪敏・出版局長は「人口減となる日本ではインバウンド観光客による交流人口増が重要性を増します」と指摘。観光分野での新しい発想の展開に期待を寄せた。



●主催:東洋経済新報社
●特別協賛:PwC Japan、マイクロアド、マイクロアド・インバウンド・マーケティング
●協賛:エスキュービズム・テクノロジ

【来日記念講演】
「自転車新文化」とは何か。
台湾をサイクルアイランド化した奇跡の秘密を明かす

劉金標
巨大機械工業(ジャイアント)
会長

野嶋剛
ジャーナリスト

45年前に台湾で38人の部品工場からスタートし、スポーツ用自転車の世界最大手メーカー、ジャイアントに育て上げた同社会長のキング・リュウこと劉金標氏は、サイクリングの魅力の普及に尽力して、観光にもプラス効果をもたらしている。『銀輪の巨人ジャイアント』の著者、野嶋剛氏がインタビューする形で、劉氏の自転車新文化への思いに迫った。

劉氏は「今のサイクリングは軽量で高機能な自転車に乗るので気持ちが良い。昔の重いペダルをこぐバイキングとはまったく違うことをユーザーにわかってもらう必要がありました」と普及にかける思いを語った。劉氏は73歳と80歳の時に2度台湾を一周、健康状態も大幅に改善したとサイクリングの効果を強調。サイクリング以外にも、世界的に成功例の少ないバイク・シェアリング・システム「YouBike」を台北市内と周辺に構築することにも成功した。日本にも、愛媛県知事が台湾訪問で、自転車新文化に賛同したことをきっかけに、瀬戸内しまなみ海道(愛媛・今治~広島・尾道間)のサイクリングコースに、ジャイアントストアを出店。「サイクリングは世界のトレンド。成功には行政と民間が手を組み、一緒に努力する必要があります」と指摘。「文化の取り組みは金儲けと思えば失敗します。マーケットを大きく育てることが大事」と主張した。

【スポンサー講演Ⅰ】
アジア大航海時代のツーリズム・ホテルマーケット
―2020年東京オリンピック後の展望―

澤田竜次
PwCコンサルティング
リアルエステート& ホスピタリティパートナー

PwCの澤田竜次氏は、観光産業の消費額は26兆円と、ほかの主要産業と肩を並べる規模があり「インバウンド需要の急激な伸びは、低成長の日本では非常に有望な市場」と訴えた。世界の国際観光客到着数は2014年の11億人から30年には18億人に、中でもアジア・太平洋地域は2.7億人から5.4億人に倍増すると予想される。1人当たりGDPが3千~5千ドル以上で中間層の海外旅行が増え、1万ドル超で若年層も海外旅行に出るというデータを提示した澤田氏は「将来予想は難しいが、アジアの経済成長、人口動態は予想できるので、20年以降もインバウンド需要が続くでしょう」と指摘。訪日客増は円安による一時的なものという見方は当たらないと主張した。そのうえで、海外旅行者取り込みには、旅行者の利便性を向上させるインフラ整備や、日本のコンテンツをアピールしてブランド醸成する情報発信が重要と強調した。

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