事業承継問題、どう考え、何を準備すればいいか。 中小企業が未来のために今できること
高田 事業承継には時間がかかります。短くても5年、長い場合は10年くらいかかることもあります。ですからまず気づくこと。近い将来、事業承継の問題に自分も直面するのだということに、早く気づくことが何より大事です。そして早め早めに手を打っていくことです。事業承継の準備をしないまま、経営者が体調を崩してしまったというケースもあります。地域で評判の優良企業が、突然廃業して地元に大きな衝撃を与えた事例もありました。
後継者はいるのか、事業性はどうなのか等々、考えなければならないことはたくさんあります。たとえば、自社の事業性について客観的に評価するのは難しいでしょうから、そこは第三者の力を借りれば良いのではないでしょうか。顧問の税理士さんでも良いでしょうし、もちろん各地の事業引継ぎ支援センターや当機構の相談窓口でも良いでしょう。また、国では気づきを促すツールとして自己診断ができるチェックシートの作成を進めています。自分でチェックしてみて、その結果を見た後で相談窓口を訪れていただくといいですね。
―最近は中小企業が海外に活路を求めるケースも増えているようですね。
高田 日本の中小企業は、力があります。技術も優れているし、商品も良い。だから自信を持っていただきたい。しかし、日本では人口減少に伴い市場の成長が伸び悩んでいますから、国内市場だけをターゲットとしている限り、今後の売り上げ増は望みにくいのが実情でしょう。かつては大手の取引先から黙っていても注文が来たので販路の心配もする必要がなかったかもしれませんが、もう大手も余裕がありませんから、自力で販路を開拓していくしかありません。そういうことに取り組みながら市場を開拓していけば売り上げが伸び、後を継ぎたいという人も増えてくるかもしれません。
当機構では販路の開拓に対応する部署もありますので、とにかくまずは専門家に相談をしていただけたらと思います。