メディアは“プラットフォーム"と
どう付き合うべきか
コンテンツ流通のメソッドは激変している!
主催/東洋経済新報社
協賛/アドビ システムズ、日本マイクロソフト、ユーザーローカル
【キーノートセッション&公開インタビュー】
アマゾンのメディアビジネス戦略
アマゾン・ジャパンのジャスパー・チャン氏は「メディアをもっと面白くしたいと思っています」と述べた。スタートからの事業である本の領域では、紙の書籍のほか、デジタル版、プリントオンデマンド、オーディブルといった多彩な選択肢を顧客に提供。配送料を含むトータルな価格の安さや、配送スピードの追求のほか、直接取引拡充で在庫切れによる販売機会損失を減らすなど、商品購入しやすい環境を整備する。
また、有料会員制プログラム「アマゾンプライム」で展開する、追加料金なしで楽しめるビデオやミュージックのサービスを強化する考えも示した。映画の「アマゾン・スタジオ」のようなコンテンツの直接制作の今後について問われたチャン氏は「いろいろな可能性がありますが、まずはお客様がアマゾンに期待するものを充実します」と語った。
【トレンドセッションⅠ】
“デジタル”を武器にしたメディアから
プラットフォーマーへのゲームチェンジ
アドビシステムズの熊村剛輔氏は、顧客接点やライフスタイルの多様化といった変化を踏まえた、今後のマーケティング活動について提案した。効果的なマーケティングの展開には「大きな分析だけでなく、小さな分析をして、PDCAをつねに高速で回さなければなりません」として、多様なメディアから収集したデータを分析、顧客をセグメント化したうえで、パーソナライズされた情報・コンテンツを提供する必要性を訴えた。さらに、メディア側とクライアント側の双方のデータをつなぐことで、広告・PRのパフォーマンスを高められる可能性に触れた熊村氏は、メディアからマーケティングのプラットフォーマーへシフトするメリットを強調。同社が提供する、分析、実行、ノウハウの提供といったデータ基盤のツールを紹介し、「高速化のために一貫性のある基盤が重要」と語った。
【トレンドセッションⅡ】
コンテンツ・クラウド時代の
Azureを活用したメディア戦略とその実現
マイクロソフトの畠山大有氏は、動画等のコンテンツ戦略について検討した。ビデオはファイルが大きく、それを扱うインフラ構築にはコストがかかる。同社のクラウドサービス「Azure」には、動画コンテンツ配信専門サービス「Azure Media Services」があり、配信に必要なコア機能を一通り提供。たとえば、エンジニアが十分にいなくても、多くの視聴者を惹き付けられるスポーツのライブ配信を行うことが可能だ。会場で撮影したビデオを配信するデモを行い、その手軽さをアピールした畠山氏は、欧州のサッカークラブのファン向けアプリを紹介。動画配信履歴からファンが多い地域がわかり、アプリを通して購入した商品、ソーシャルメディアでの発言のデータで、ファンの嗜好や関心も把握できる。畠山氏は「多様化するユーザーへの理解がサービス強化につながる」と述べた。
【スペシャルセッション】
グローバルプラットフォームが目指していること
グーグルの魚住潤一氏は、モバイルページを高速表示するAMP(Accelerated Mobile Pages、アンプ)プロジェクトについて説明した。AMPは「サイトの起動時間が3秒以上かかると約40%のユーザーがそれ以上の閲覧を断念してしまう課題をみんなで解決しよう」というグーグルの旗振りでスタート。データ量を削減する技術などを使い、ページの起動の大幅な高速化を図った。メディアは、コンテンツ供給先によって異なるプラットフォームに合わせる技術対応が不要になり、課金などマネタイズの仕組みも自社でコントロールしやすくなる。
グーグル以外にも多くのプラットフォームが対応を始めており、魚住氏は「コンテンツが見やすくなれば閲覧も増えます。複雑な技術でもなく、皆さまの参加を期待しています」と訴えた。