ビックカメラが決断、「家電以外で生き残る」 5年後、売上高1兆円計画の現実味は?

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新店はビックカメラが年間1店、コジマが4~5店ペースで増やしていく方針だ。訪日客については、既に中国最大の格安航空会社である春秋航空との業務提携や、日本空港ビルディングと免税店を運営する合弁会社を設立するなど手は打ってきた。その効果が今後徐々に現われる見通しだ。

国内の家電販売以外の強化を打ち出した宮嶋社長(撮影:谷川真紀子)

新規分野についても、ドラッグや寝具などの専門店を積極的に出店していく。つまり、ビックは家電販売にこだわらない戦略を打ち出したと言える。

もちろん、現状のビックの収益を支えるのは、国内の顧客に向けた家電販売。ただ、家電量販店で1兆円を超える売り上げがあるのは、47都道府県全てに店舗網を持つヤマダ電機のみ。さらに、経常利益率5%を越えているのはインターネット販売に強みを持つヨドバシカメラだけだ。

国内市場は買い替えが中心で、人口減少による需要減も影響するため、大幅な伸びは見込めないのだ。

計画達成に向けた懸念要素は多い

5年間で売上高2000億円を上乗せするのは容易ではなさそうだ。国内市場の鈍化だけでなく、家電メーカー再編の動きも見逃せない。

東芝の白モノ家電事業は、世界大手の中国・美的集団に売却された。シャープも台湾・鴻海精密工業の傘下に入り、「魅力的な商品が減少するのではないか」という懸念もある。宮嶋社長は「オリジナル性のある商品を開拓していきたい」と説明。PB商品の開発や中小メーカーの独自品などの開拓を積極的に行っていく構えだ。

訪日客の興味は高額品から理容家電などに移ってきているようだ(撮影:今井康一)

拡大を狙う訪日客向けにしても、全体に占める売上高比率は10%程度(ビック単体)。宮嶋社長も「20%、30%と増えるものではない」と話す。さらに「高額な時計やカメラから、価格の低い時計や理容・美容家電などに購買が変化している」と懸念を示している。

こうした状況を鑑みるに、中期計画が容易に達成できる目標でないことは確かだ。だが、生き残るには、活路を見い出し、新分野に挑戦するしかない。家電以外に挑むビックの覚悟が試されることになる。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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