資産運用は、若い人ほどメリットを生かせる 河北 麻友子 朝倉 智也 特別対談
朝倉 「ファンド オブ ザ イヤー」は、評価対象としているファンドの中から優れたファンドを表彰するものです。日本のモーニングスターが設立された翌年から発表を開始し、今年で17回目になりますが、個人投資家や販売会社において、第三者評価に対する意識が高まっている手応えを年々感じています。ここ最近では当社の評価の高いファンドに資金が流入する傾向が見られます。
長期分散投資は、
若い人に向いている
河北 モーニングスターの評価が信頼されているわけですね。ところで、基本的な質問ですが、そもそもなぜ資産運用が必要なんでしょうか。銀行預金だけではだめですか。
朝倉 以前は金利が高かったので、銀行預金だけでもおカネは自然と増えていきましたが、現在の金利水準では100万円を普通預金に預けても年間10円の利息しかつきません。一方では、物価は消費税の増税分も含めて上昇しているので、実質的なおカネの価値は減り続けている状況です。入ってくるおカネが増えればいいのですが、残念ながら給与も物価以上に上がっていません。また、老後の生活資金となる年金の支給額は、年々見直され減少する傾向にあります。将来のことを考えるなら、若いうちから資産運用を真剣に考えていく必要があるでしょう。
河北 今から老後のことはあまり考えたくないですが、そのときになってから慌てるようになってはいけませんね。とは言うものの、具体的に何から始めればいいのか悩むところです。株式の銘柄を決めて購入すればいいんでしょうか。
朝倉 日本の上場会社数は3500社以上あります。この中から1社を選ぶのはなかなか難しいところです。そして、個別銘柄に投資した場合、予想が外れて価格が下落するリスクが大きくなります。さらに、購入時に一定のまとまった資金も必要です。ファンドの大きな特長は、株式や債券などに分散投資できることです。ファンドは投資家の小口のお金を集めて一つの大きな資金として運用します。さまざまな資産に分散投資し、リスクを軽減することができるわけです。また、少ない金額から購入できるのも魅力です。販売会社によっては、ファンド積立といって、毎月500円程度から始められるものもあります。
河北 毎月500円なら気軽に始められますね。しかも積立であれば、忘れずにコツコツと投資ができそうです。投資というと、退職金など、まとまった資金を運用するもので、私たちのような若い世代には縁遠いように思っていました。
朝倉 実は、資産運用は若い人ほど有利です。なぜなら、時間を味方にできるからです。金融商品への投資の大きなメリットは、複利で資産が増えていくことです。年利2%でも36年後には資産が倍になります。