
拡大を続ける
ETFのマーケット
ETFは、特定の指数に連動する運用を目指す上場投資信託のことだ。指数としてよく知られているのは、日経平均株価やTOPIXだろう。東京証券取引所1部上場企業約1900社の株価を指数化したTOPIXとの連動を目指したETFは、TOPIXとほぼ同じ値動きをする。ここにETFの一つの特徴がある。値動きがわかりやすいというポイントだ。
もう一つ、ETFは証券取引所に上場しているため、上場株式と同様に証券取引所で自由に売買できるという特徴もある。つまり、証券取引所が開いている時間帯ならいつでも売ったり買ったりできるのだ。また、注文方法についても上場株式同様、指値注文や成行注文なども可能である。
そして、信託報酬の低さも見逃せない。信託報酬は、投資信託を保有している間、毎年支払わなければならないコスト。したがって信託報酬が安ければ、長期保有するほどコストメリットが大きくなっていくが、非上場の公募投資信託と比較して、通常、ETFの方が信託報酬が低く設定される。
そればかりではない。ETFの多くが1口10万円以下から買うことが可能だ。少ない資金でさまざまな資産に手軽に分散投資することができ、資金効率も非常に良い。
上場推進部
調査役
高木 亮
実際、ETFのマーケットは拡大している。内国ETFの純資産残高は16兆円規模まで拡大し、売買代金も日を追うごとに増加している(下表参照)。「今回の上場でETFの銘柄数は196になりました。連動対象となる指数も、TOPIXをはじめとする日本株から、外国株、外国債券、REIT、金などの商品までラインナップも拡充されています」と語るのは東京証券取引所・上場推進部調査役の高木亮氏。「ETFの存在感が高まる中で、スマートベータ型という新たなコンセプトのETFに注目が集まってきています」と続ける。
スマートベータという
新たなインデックス
上場推進部
調査役
椎屋 幸祐
スマートベータとはいったい、何か。東京証券取引所・上場推進部調査役・椎屋幸祐氏が後を受ける。
「企業の配当や売上高、ROE(自己資本利益率)、株価変動率などに着目して銘柄を組み入れる指数がスマートベータなのです。いわば、市場全体の値動きの平均との連動を目指すパッシブ運用と、アナリストやファンドマネジャーらによって個別の銘柄を選択するアクティブ運用の中間にある指数と言ったらわかりやすいでしょうか。東証にもさまざまなタイプのスマートベータ型ETFが上場しています(下表参照)」
すでに、米国のマーケットを見るとETF資産残高の約2割をスマートベータ型ETFが占めており、欧州にいたってはここ5年でその市場規模は約4倍に拡大しているというデータまである。が、日本では14年、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株式運用において初めてスマートベータ型アクティブ運用を採用したことをきっかけに認知度が大きく上がったという。
「現在、大きな注目を浴びているスマートベータ型ETFをはじめ、ETFのラインナップがさらに充実することによって、日本でもETF市場はもっと拡大していくと想定しています」と高木氏は期待している。
新指数JAPAN
クオリティ誕生
ETF推進室
マネジャー
佐々木 康平
「最近注目されているインデックスの一つに、JPX日経インデックス400があります。この指数は、企業の稼ぐ力とも言えるROEや、営業利益などの要素にフォーカスし、東京証券取引所に上場している3000社以上の企業の中から資本の効率的な活用などグローバルな投資基準に求められる条件を満たした400社を選んでその株価を指数化したものです。当社でもこの指数に連動を目指すETF『MAXIS JPX日経インデックス400上場投信』を上場したところ、機関投資家から個人投資家まで幅広い方に活用されています。高い収益性を誇るクオリティの高い企業に投資をしたいという投資家のニーズが根強いからこそ支持を得られたのだと考えています」と語るのは三菱UFJ国際投信・ETF推進室マネジャーの佐々木康平氏。「ならば、“企業の稼ぐ力”により強くエッジをかけても良いのではと着想したのです」と続ける。
そこで、今回のETFが連動を目指す指数は、STOXX社と三菱UFJ信託銀行によって新たに構築された指数「iSTOXX MUTB JAPANクオリティ150」だ。
「ROE、財務健全性、キャッシュフロー創出力、利益安定性という四つの指標をスコア化し、高いROEを継続できる企業150銘柄に投資することをコンセプトに掲げた指数です。いわば、アクティブのファンドマネジャーが銘柄を選ぶように指数が作られています」と佐々木氏は説明する。スマートベータの認知度が高まる中、「MAXIS JAPAN クオリティ150上場投信」は、多くの機関投資家や個人投資家からETFの新たな選択肢として注目されるのではないだろうか。
経営企画部
チーフマネジャー
四方 利祐
「米国や欧州では、ETFが資産運用の中心として位置づけられつつあります。世界のETF市場は拡大を続けており、グローバルベースのETF残高は350兆円を超える規模まで拡大しています」と三菱UFJ国際投信・経営企画部チーフマネジャー・四方利祐氏は指摘する。
「当社もETF市場を大きな成長市場と位置づけています。特にスマートベータ型は、低コストでアクティブ的なパフォーマンスが期待できるので、潜在的なニーズは高いと期待しています」(四方氏)
「ETFをNISAの本命に」
しかもETFは、投資額120万円の範囲内なら値上がり益や配当金に税金がかからないNISA(少額投資非課税制度)の対象でもある。ETFは先述のとおり、投資初心者にとってもわかりやすく、投資しやすい商品となっていることから、長期投資を視野に入れたNISAとの相性が良いと言い換えることもできるだろう。「NISAは今年から非課税枠が拡大されましたし、ジュニアNISAも始まります。今はまだNISAにおけるETFのシェアは小さな数字にとどまっていますが、それは、個人投資家の皆様に、ETFがNISAの対象であるということや中長期の投資運用に適した商品であるということがあまり知られていないことも一因ではないでしょうか。NISAとETFに関する知識が個人投資層に幅広く浸透していけば、ETFが、NISAの本命となることもそう遠くないでしょう」と高木氏は力強い。
将来への不確実性が増し、不透明な先行きもぬぐいきれないような環境が続く。将来に備え自ら資産を形成していくうえでも、これまでの貯蓄偏重から投資へシフトするという意識改革が求められているのかも知れない。「貯蓄から投資」は大きなスローガンではなく、自分事として考えるタイミングにあるとも言えるだろう。多くの人が、自らの資産形成に立ち上がった時、投資対象の選択肢の一つとして、ETFにも注目が高まるはずだ。





