オープンな連携でイノベーションを 東洋大学

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

坂村 今の時代に、文系・理系を分けることはあまり意味がなく、新設予定の情報連携学部も文理融合を志向します。自分ができることも、できないから他人にお願いすることも、ともに本質を理解して他分野と連携することを抜きにしては、何もできません。たとえば、経営者になるにも、デザインを理解している方がいいし、技術者でもビジネスを理解している方がいい。

村上 実際、現ヤフーCEOのマリッサ・メイヤーは、グーグルではユーザー・インターフェース、ユーザー・エクスペリエンス担当副社長として、デザインにも大きな権限を持っていました。また、最近のトピックとしては、ついに量子コンピュータが登場し、NASAとグーグルはクオンタム(量子)AIラボを設立しました。この量子コンピュータは、カナダのD-Wave Systems社製ですが、実は東工大の西森秀稔教授の理論が使われています。日本のコンピュータサイエンスは高いレベルにあり、オールジャパンでは何かできそうなのに、バラバラに動いている感じがするのは残念です。

坂村 日本は、企業グループ内などにとどまった閉鎖的な連携は得意ですが、世界の潮流である、ネット社会化によるオープンな連携の面では、社会自体にそういうことを嫌う傾向があり、遅れをとっています。たとえば、インターネットの選挙活動利用では、米国ではインターネットが普及した1990年代に始まっていたのに対し、日本は公職選挙法改正で解禁された2013年にようやく始まりました。新学部では、こうした状況を踏まえ、オープンな連携力を身に付け、イノベーションを起こせる人材を輩出していきたいと考えています。イノベーションを起こすための法則はなく、とにかく挑戦してみるしかありません。そこで、海外からも実績のある人を呼んでディスカッションしながら、先人の事例、チャレンジの仕方などを伺い、実際にやってみることの大切さを学んでもらえるカリキュラムを検討しています。

村上 今は学生でも、プロトタイプをインターネットを通じて公開し、世間の反応を見ながら、ビジネスの可能性を探ることが可能です。とにかくやってみて、実世界ともみ合っていく……。そうした時代には、オープンな連携が重要なカギになります。多様な学びの内容を備えた環境で、多様な考えの人たちが連携することで、生まれてくるものに期待しています。

※2017年度開設予定(設置構想中)。学部・学科名は仮称であり、計画内容は変更になる可能性があります。