投資信託市場で大きな影響力を有する
「モーニングスター」とは
モーニングスター
第三者の評価機関として
「わかりやすさ」を追求
消費増税や社会保障費の負担拡大に加え、公的年金への不安などから、金融商品に関心を持つ人が増えている。政府の「貯蓄から投資へ」という掛け声のもと、さまざまな施策が進行中だ。今年1月からは、未成年者(0~19歳)を対象に、年間80万円分の投資枠から得られた譲渡益、分配金・配当金に対して、税金が非課税になる「ジュニアNISA(少額投資非課税制度)」も始まった。
施策が充実する一方で、投資初心者の「どれを選べばいいかわからない」という声も聞えてくる。投資信託協会のデータによれば、販売されている公募投資信託の数は5819本(2015年10月末現在)あるが、この数は上場会社数3510社(15年12月22日現在)と比べてもはるかに多い。
モーニングスターの朝倉智也社長は、「当社は創業以来、金融機関と個人投資家の情報格差を埋め、第三者の立場でわかりやすく公正な情報を提供することに努めてきました。ファンドを星の数で評価する『モーニングスターレーティング』や、優れたファンドを評価する『ファンド オブ ザ イヤー』などを実施しているのもその一環です」と話す。
金融庁の「金融・資本市場活性化有識者会合」は、「市場の活性化のためには、第三者の立場から評価、格付けなどを行う評価会社の積極的な活用が期待される」とし、モーニングスターのような評価サービスを歓迎している。
ファンドを星の数で評価
「スターレーティング」
モーニングスターの画期的な取り組みの一つが、ホテルやレストランの五つ星のように、ファンドを星の数で評価する「モーニングスターレーティング」だ。朝倉社長はこのレーティングの考え方について「ファンドの運用成績はリターンだけでなく、リスクの大きさを考慮することが不可欠です」と説明する。
そのため、同社の「モーニングスターレーティング」では、「シャープレシオ」と呼ばれる数値を用いている。これは、リターンのブレの大きさ(標準偏差)を利用し、リスクに見合ったリターンを得ているかを表す指標だ。「モーニングスターカテゴリー」と呼ばれる分類で同じタイプのファンドを比較する仕組みや、直近のリターンだけでなく3年間、5年間、10年間の運用成績を重視する姿勢も同社ならではだ。
簡単に言えば、星の数が多いほど、同分類のファンドの中でリスクとリターンの両方を考慮した運用成績が良いファンドとなる。だが国内市場においては運用成績が良ければ資金が集まるのかと言えば、そう単純ではなかった。