ストック型社会において
「団地」の新たな価値を生む
日本総合住生活
特筆すべきは「ストック実修館」であろう。同館は集合住宅の維持管理に必要とされる技術の伝承、技術者および技能者の養成を目的とした実技の研修を行う施設だ。
「若い職人さんの中には、古い団地の設備を見たことがないという人もいます。当施設を活用し、ストック住宅に求められる技術を伝えていくのが狙いです。職人さん不足の問題解決の一助にもなればと考えています」と、廣兼社長は語る。
「スクエアJS」には全国各地の自治体や住宅供給公社などからの見学も多いというのにも納得がいく。
これからは地域包括システムを
団地が支えていく
「多くの団地は、地域の街の中核になっています。公園で遊ぶ子どもたちだけでなく、子育て世帯、お年寄りなどが集うコミュニティが形成されています。大げさでなく、日本の将来のためにも、大きなポテンシャルを持つと考えています」と、廣兼社長は力を込める。
政府も、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。UR都市機構でもこれに対応し、大規模団地を核に地域の医療・福祉拠点をつくる取り組みも本格化させ、2018年までに全国約100団地で整備する方針だ。
「当社がこれまで蓄積したノウハウや経験を生かせる場も多いと考えています」
設立から50余年。日本総合住生活はUR都市機構とともに、日本の集合住宅の歴史を歩んできた。
「マンションは必ず、建物の老朽化、住民の高齢化を迎えることになります。当社は団地をはじめとする集合住宅管理のパイオニアとして、率先して課題に対応してきたと自負しています」(廣兼氏)
最近では『品川八潮パークタウン』の敷地内における「JSスワンベーカリー」の出店をはじめ、日本女子大学とコラボした『光が丘パークタウン』のリフォームコンペの開催など、団地活性化の取り組みを進めている。
「新たなステージにさしかかっている団地の価値を生む提案を積極的に行い、多様な世代が生き生きと安心して暮らせる環境づくりに貢献したいと考えています。むろん、当社だけでできることにも限界があります。今後も産官学のさまざまな機関、団体、企業とのコラボレーションも進めていきます。ぜひご賛同いただき、ご協力いただきたいと願っています」と廣兼社長は結んだ。
