「イソジン®」の開発元・アメリカ発祥の製薬企業ムンディファーマが日本での事業展開を強化、さらなる拡大を目指す。 ムンディファーマ

「イソジン®」の販売を「シオノギヘルスケア」へ
ムンディファーマは2015年12月、「イソジン®」の名前で知られる殺菌消毒剤について、Meiji Seika ファルマとの提携契約を終了し、今後は自社が製造販売元となることを発表した。
ムンディファーマはヨウ素を使った有効成分「ポビドンヨード」を含む殺菌消毒剤を1955年に世界で初めて製品化。海外では「ベタダイン®」として約120カ国以上で販売している。日本では1961年に明治製菓(当時)と技術提携し、当初は有効成分の供給を行い、「イソジン®」として販売されてきた。今後は、うがい薬、傷薬、手洗い剤などを自前で開発・製造し、販売・流通は塩野義製薬グループの「シオノギヘルスケア」に新たに委託する。
MUNDIPHARMA PTE LTD アジアパシフィック・中東・アフリカ・中南米担当 プレジデントのラマン・シン氏は、今回の狙いについて以下のように語る。
「イソジン®を日本で親しまれるブランドに育ててくれた明治にはとても感謝しており、今後はそれをさらに強化していきたいと考えています。ムンディファーマは世界で半世紀以上にもわたってポビドンヨード製剤を世界に広め、感染症予防の実績やノウハウを持っています。塩野義製薬も感染症領域において豊富な経験を持っており、今回の販売提携を通じて日本の感染症対策に貢献できると考えています。今後は、海外で販売されていて日本には出されていない商品をムンディファーマが導入することで『イソジン®』の新たな価値を日本の皆さんに提供していきたいと思っています。」
アメリカ発祥のムンディファーマは、世界120カ国以上、40億人を超える人々の健康に貢献する製薬企業だ。日本では、がん性疼痛治療薬などの「疼痛」領域、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)などを適応とする希少「がん」領域、ポビドンヨード製剤などの「コンシューマヘルスケア」領域の3事業を柱に、患者のクオリティ・オブ・ライフの向上に努めてきた。
「成長に向けた挑戦を続けていますが、やみくもに規模の拡大を目指すのではなく、当社グループならではの強みを発揮できる部分に特化しています」とシン氏が話すように、その事業戦略も明確だ。
前述した「イソジン®」の販売強化に先立ち、2015年上旬には日本で実施している末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)用治療薬2剤のⅠ/Ⅱ臨床試験の被験者登録を終了した。また11月にはB細胞性非ホジキンリンパ腫の治療薬を日本を含むアジアなどの市場で販売する権利を、米医薬品メーカー、スペクトラム・ファーマシューティカルズから1500万ドル(約18億1500万円)で買収する等、「がん」領域にも力を入れている。