モノづくり大変革の全貌
全く新しいIoTのビジネスモデルが起こすイノベーションへの招待
【事例講演Ⅱ】IoT×製造革新
ものづくりの将来像とFA統合ソリューション
e-F@ctory」
三菱電機の楠和浩氏は、「ものづくりにIT技術をという話は古くからあるが、高速通信、データ収集、データ解析の技術向上で、実現の流れができた」と、インダストリー4.0など過熱気味のIoTをめぐる動きを冷静に見た。IoTに先駆けて2003年から同社が取り組んできた「e-F@ctory(イーファクトリー)」は、FA技術とIT技術を活用して、生産現場の可視化、分析、改善によるトータルコスト削減ソリューションで、世界5200件以上の導入実績がある。実際に導入した同社名古屋製作所のサーボモータ生産ラインでは、生産性が180%向上。さらに、ラインごとや設備ごとなどさまざまな原単位で消費エネルギー削減にも成功した。楠氏は「イーファクトリーで、できることはいろいろあるので、狙いをはっきりさせて取り組むべきです」と指摘。同工場には多数の見学者が訪れると言い、「実際の導入例を見て、自社での展開を検討していただければ」と呼びかけた。
【ディスカッション】
「IoTがもたらすビジネスイノベーションの可能性とは」
アクセンチュアの三原哲氏は、コスト削減、売上向上、新ビジネスモデル創造と、IoTがもたらすさまざまなインパクトを挙げ、立ち上げの際のポイントを各ゲストに尋ねた。
米ベンチャーと提携し、知的保全(予知保全)領域に注力している電通国際情報サービスの幸坂知樹氏は、日本の製造業現場でも大きなダウンタイム回避などに活用されている事例を紹介。「知的保全はコスト削減より利益向上につながる」と述べた。
IoTを推進する組織について、ユニアデックスの山平哲也氏は、「IT部門だけでない横断的組織編成」「サービス企画担当の設置」「顧客体験データを取る必要」の3点を指摘。「社外との協業で非連続な発想を得ることが非常に大事」と話した。
データの活用について、テクノスデータサイエンス・マーケティングの池田拓史氏は、「自社の行動変化で顧客行動も変わり、価値を生むのがイノベーション」と定義。「その導線となる行動を見つけるのにデータサイエンティストは重要」と強調した。
ナレッジコミュニケーションの奥沢明氏は、クラウド上で提供されているデータ収集や機械学習のサービスを組み合わせれば「素早くシステム構築できるメリットがあり、専用線接続でセキュリティも確保できる」、とクラウドのメリットを訴えた。
中小企業のIoTについて、東京エレクトロンデバイスの八幡浩司氏は「IoTは知恵の勝負」と力説。「中小企業を地域でまとめて世界に発信、紹介することもIoTサービスとして提供できるのではないか」と語った。
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