「親が貧しい子」は勉強でどれだけ不利なのか 100点満点のうち「平均20点」も低い現実
現在、日本の中学3年生の6割以上は塾に行っている。1970年代では4割程度だった通塾率は増加傾向にあるという。欧米には塾はほとんど存在しないというが、なぜ日本の子どもたちの多くが、塾に通うのだろうか。塾に行かないと名門校には入れないのだろうか。また、塾通いにはおカネが必要だが、年収によって子どもの塾通いの比率はどれくらい違ってくるのだろうか。
格差研究の第一人者である橘木俊詔・京都大学名誉教授が、こうした塾や習い事といった「学校の外」での教育による格差に焦点を当てて分析したのが『子ども格差の経済学――「塾、習い事」に行ける子・行けない子』である。ここでは、受験名門校の1つである灘高校でのアンケート結果と、親の年収別の子どもの学力・教育支出のデータを基に分析した「親の年収が生む格差」について、本書の内容を一部編集のうえ掲載する。
灘校生の8割が在学中に塾通い
今となっては常識的なことかもしれないが、有名大学(たとえば東大や京大)に多くの卒業生を送っている名門高校に入学するには、塾に通っていないと不可能な時代である。
拙著『灘校 なぜ「日本一」であり続けるのか』では受験名門校の1つである神戸市の私立灘高校を徹底して解明した。そのときに現役の灘高校生にアンケート調査を行った。数多くの質問の中で、入学前のことに関して「塾に通っていたのか、そして通っていたなら何年間通っていたのか」という質問項目を用意した。
この問いでは灘中入学試験の前か、それとも灘高入試の前かを区別していない。ただし、灘高生(1学年220名)のうち灘中からの進学者が180人(80%強)であるから、入学前の塾通学の経験は、多くは小学校時代のものと見なしてよい。ただし、一部には灘中以外の中学から灘高の入試を受けた人もいるので、塾を中学時代に経験した人も少しはいる。
トピックボードAD
有料会員限定記事
政治・経済の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら