円高ドル安が進み、2016年末は112円になる 円安?円高?円高と見るプロの論理
――ようやくFRB(米国連邦準備制度理事会)による最初の利上げがありましたが、2016年のドル円相場をどう見ていますか。
一貫して、1ドル=125円ぐらいが円安の限界という見方をしている。ポイントは2つある。
一つめは、米国経済の独り勝ちがそんなに長く続かないのではないかということ。世界の経済が全体に弱い中で、米国だけが利上げをすれば、ドル独歩高になるので、結局はこれがアメリカ経済を下押しする。二つめは日本円がそんなに弱い通貨ではなくなるだろうということ。原油安などによって、日本の経常黒字が再び急拡大してきたためだ。
2016年のドル円相場は1ドル=112~126円のレンジで、現在は底堅い動きではあるが、2016年末にかけて緩やかにドル安円高が進んでいくと見ている。
円は経常黒字の急拡大で強くなっている
――中長期のトレンドとして円高に転換するということでしょうか。
まず、主要通貨が円に対してどのように動いてきたかを見ると、2012年は日本の経常黒字の減少と日本銀行が金融緩和に動くとの期待から、すべての通貨が円に対して上昇し円全面安だった。2013年は日本銀行のQQE(量的質的緩和)が始まり、やはり円全面安となった。
2014年は円安の度合いは薄まってきて、例えば、スウェーデン・クローナが円に対して値下がりしたが、全般に円安となった。これが2015年はほぼすべての通貨が円に対して値下がりし、円全面高に転じている。かろうじてドルだけは円に対して上昇したが、年初が119円60銭、足元が121円なので、1%程度の上昇に過ぎない。
2015年に円が強くなった背景は経常黒字の急拡大に加え、ECB(欧州中央銀行)のマイナス金利政策でユーロのほうが弱くなったこと、さらに、世界経済全体が冴えない中で、米国の利上げが始まったことがある。世界のGDP(国内総生産)が伸びない中で米国が利上げに転換するのは初めてのことだ。これが、経済にいろいろなストレスをもたらし、市場がリスク回避の円買い動く局面が頻発した。2016年もそうした場面が増えてくると思われる。
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