コンプガチャ規制に揺れるグリー、連続増益記録に暗雲 “ネット業界の雄”が、成長の曲がり角

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コンプガチャ規制に揺れるグリー、連続増益記録に立ちこめる暗雲

「探険ドリランド」「聖戦ケルベロス」「釣り★スタ!」--。近年、積極的なテレビCMなどを通じて急速に知名度を上げてきたのが、携帯向け交流・ゲームサイト「GREE」を運営するグリーだ。インターネット上のソーシャルゲームによる有料課金収入を武器として、業績を急拡大してきた。その“ネット業界の雄”が、成長の曲がり角を迎えつつある。

グリーは8月14日、前2012年6月期決算とともに今13年6月期見通しを発表した。今期の会社見通しは売上高が1950億円(前期比23.2%増)~2050億円(同29.6%増)。営業利益見通しは740億円(前期比10.6%減)~840億円(同1.5%増)。増収基調に変わりはないが、会社側が想定するシナリオが下限の方向で推移した場合、グリーは08年の上場来、初の営業減益に陥る可能性が出てきた。

減速を強いられるのは、課金収入を拡大する手法だったコンプガチャについて、規制が課されたためだ。ガチャとは、1回数百円でアイテムが購入出来るゲーム上の”くじ引き”のこと。ガチャを複数回行うことで、より希少性の高いアイテムが購入できる仕組みを「コンプリートガチャ」(略称コンプガチャ)と言う。このコンプガチャを消費者庁が「一般論として、過度に取引を誘引するため景品表示法上の問題点がある」と指摘。7月1日以降コンプガチャは罰則対象となったため、その分の収益が剥げ落ちる。

同日、東京証券取引所で行われた記者会見で、田中良和社長(=写真=)は「コンプリートガチャ規制については、7月中に対応した。与えた影響は正確に分析出来ない」と話した。利益の予想レンジが大きくなっていることについては、田中社長は答えず、「他の規制影響は折り込んでおらず、積極的に強化している海外事業の投資規模に左右されるため」(秋山仁コーポレート本部本部長)とした。

焦点は会社予想のどの範囲に着地するかだが、会社が予想する営業利益の上限に到達するのは、容易ではない。

 

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