コンプガチャ規制に揺れるグリー、連続増益記録に暗雲 “ネット業界の雄”が、成長の曲がり角

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同日発表された決算では、前期実績は、売上高1582億円(前々期比2.4倍)、営業利益827億円(同2.6倍)だった。実は、直近の12年4~6月期(第4四半期)は、第3四半期(12年1~3月期)実績に比べ、売上高で13%、営業利益で23%減少した。

これにはコンプガチャの影響も含まれるが、事業の勢いそのものに陰りが出ている可能性もある。競合のディー・エヌ・エー(DeNA)も、4月以降、ゲーム内の仮想通貨消費が横ばいで推移している。

となれば、連続増益確保のカギは、海外事業の出来次第だ。が、会社は「具体的数値の実績や予想を開示出来ない」(秋山コーポレート本部本部長)。同日の記者会見では「われわれのサービスが全世界に受け入れられている」と田中社長は話し、海外事業の説明に多くの時間を割いたが、現状では、羊頭狗肉の感が否めない。

また、コンプガチャに続くガチャそのものへの規制が適用されれば、減益は必至だ。同社の突出する収益性を支えているガチャについては、ゲーム業界で批判もある。たとえば、任天堂の岩田聡社長は、前12年3月期決算説明会の場で、「構造的に射幸心を煽り、高額課金を誘発するガチャ課金型のビジネスは、仮に一時的に高い収益性が得られたとしても、お客様との関係が長続きするとは考えていないので、今後とも行うつもりはまったくない」と言及している。

田中社長は今後ガチャを続けるのかという質問に対して、「社会に広く受け入れられるのは大前提だが、福袋のようなくじ的な販売手法は世の中にあるので問題ない。コンプガチャのように社会から違うと言われれば、やり方をただす」として、当面止める考えはないことを示している。

(二階堂 遼馬 =東洋経済オンライン)

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