東芝、「身内に大甘」3億円賠償請求の疑問点 対象者と金額をどうやって決めたのか
ついに個人投資家も訴訟に向け動き始めた。
東芝の不適切会計問題で、株価下落の影響を被ったとする個人株主約70人が12月にも、東芝と旧役員を相手に損害賠償請求に乗り出す。
株主を支援する「東芝事件株主弁護団」の吉田泰郎弁護士は、「東京と大阪で起こす第1回目の訴訟は、約70人で約4億円の請求を見込んでいる」と説明。今後3年間にわたり活動する方針で、参加する株主も増える予定だ。
今のところ目立った動きはないが、機関投資家のほうも、東芝に訴訟を起こすとみられる。こちらは個人と違い株数が多く、賠償額は百億円単位に膨らむ可能性がある。損失計上を先送りしていたオリンパス事件では、機関投資家による損害賠償請求額が合計700億円を超えている。
対象98人のうち提訴は5人
東芝の場合、会社を相手に一部株主が役員の責任を追及するように提起したのが、9月9日。それを受けて同月17日には、元札幌高裁長官ら3人による、役員責任調査委員会が設置された。
そして委員会が報告書を東芝に出したのが11月7日だ。
調査対象は取締役・執行役の98人だったが、うち不適切会計に関与した可能性がある者を14人に限定。そこから西田厚聰氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏の歴代社長3人と、元最高財務責任者(CFO)の村岡富美雄氏、久保誠氏に対して、「民事訴訟の提起により、責任を追及することが相当」と結論づけた。結局、東芝は5人に計3億円の損害賠償を求めて、東京地裁に提訴したのである。
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