東芝、異例の土曜決算発表で6年ぶり上期赤字 約束していた通期予想を出せない失態
「例年より決算発表が遅れましたことをお詫び申し上げます。また、本日は週末にも関わらず、お集まりいただいたことに関して、心からお礼を申し上げます」―――。
一連の不適切会計問題を起こした東芝は、11月7日、2016年3月期上期の決算を発表。会見の冒頭、東芝の平田政善・上席常務は、例年であれば10月末に発表している上期決算が遅れたこと、異例の土曜日の決算会見をしたことについて陳謝。社内ではまだ混乱が続いているということを、自ら露呈した恰好となった。
2016年3月期上期(4~9月期)の決算は、売上高が前年同期比4.5%減の2兆9727億円、営業利益は前年同期の1378億円から一転、今上期は904億円の赤字に沈んだ。上期の赤字は、2010年3月期以来、6年ぶりだ。
買収したPOS事業が重荷に
全5部門のうち、営業赤字は、電力・社会インフラ、昇降機やPOS(販売時点情報管理)などのコミュニティーソリューション、家電などのライフスタイルの3部門で計上。赤字の大きな部分を占めているのが、POS事業を主体とする、子会社の東芝テックが計上した696億円という巨額の減損損失だ。2012年に買収した米IBMのPOS事業の収益が想定以上に出ず、資産価値の見直しを迫られた。
とはいえ、仮に減損が計上されていなかったとしても、200億円近くの営業赤字が残る。3部門の赤字のみならず、全部門で前年同期比減益となり、全社的に収益力が低下してしまった。
特に不安視されるのが、電子デバイス部門だ。同部門は、2015年3月期には全社の営業利益1704億円に対し、2166億円を稼ぎ出した。赤字部門をカバーしている屋台骨だ。今上期の営業利益は、388億円と黒字こそ死守したものの、前年同期の1192億円から大幅に落ち込んだ。
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